コラム
» 2019年01月24日 08時00分 公開

Publickey:「Redis」「MongoDB」「Kafka」が相次いで商用サービスを制限するライセンス変更 AWSなどによる「オープンソースのいいとこ取り」に反発 (3/3)

[新野淳一,Publickey]
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AWSによる競合サービスをきっかけにライセンスを変更

 高いスケーラビリティを備える分散メッセージキューとして、ビッグデータ処理などに使われる「Kafka」の開発元であるConfluentも、同社が提供するKafkaの一部のコンポーネントである「KSQL」「Confluent Connectors」「REST Proxy」「Schema Registry」などのライセンスを変更。商用サービスでの利用を制限しました。

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 同社CEOのジェイ・クレプス氏は、ライセンス変更を説明する記事「License Changes for Confluent Platform」で、その理由をクラウドベンダー対策だと説明しています。

The major cloud providers (Amazon, Microsoft, Alibaba, and Google) all differ in how they approach open source. Some of these companies partner with the open source companies that offer hosted versions of their system as a service. Others take the open source code, bake it into the cloud offering, and put all their own investments into differentiated proprietary offerings. The point is not to moralize about this behavior, these companies are simply following their commercial interests and acting within the bounds of what the license of the software allows.

主要なクラウドベンダー(AWS、Microsoft、Alibaba、Google)はそれぞれのオープンソースに対するアプローチを持っています。ホステッド版のサービスを提供しているオープンソース企業と提携する企業もあれば、オープンソースのコードを使って自社クラウドの独自サービスとして組み込み、差別化要因として用いるところもあります。

重要な点は、これをモラルの面で語ることではありません。こうした企業は単に商業上の利益に従って行動し、ソフトウェアライセンスが許す範囲内で行動をしているにすぎないからです。

 このライセンス変更の1カ月前に、AWSはKafkaのマネージドサービスである「Amazon Managed Streaming for Kafka」を発表しています。Confluentの幹部は、このAWSのサービスが発表されたことがきっかけで、ライセンス変更を行ったことを認める発言をしています

オープンソースの開発元が、クラウドへの影響力を持とうとしている?

 それぞれの企業がライセンスを変更した理由は、「クラウドベンダーからコミュニティーに対する貢献が小さい」といった不満がベースにあるように見えます。一方で、ここで挙げた3社はみな、既に自社でRedis、MongoDB、Kafkaのマネージドサービスを提供しており、AWSなどのサービスはそれらと競合関係にあります。

 すなわち、大手クラウドベンダーとの競合対策として、開発元がオープンソースのライセンスを変更した、という見方もできるわけです。

 多くのオープンソースが、自由に誰でも利用できるソフトウェアであったことから、開発元企業だけでなく、大規模クラウドベンダーがそれを利用してサービスを立ち上げることも、これまでは自由に行えました。

 これをオープンソース開発元企業から見ると、コミュニティーに大した貢献もしていないクラウドベンダーが“いいとこ取り”をしているように見えたわけです。

 そこで、オープンソースを開発する企業が、こうした大手クラウドベンダーによる“いいとこ取り”を許さず、ライセンスを通じてその利用形態に一定の影響力を持とうとして、具体的なアクションを取り始めたのが今回の3社で起きたことと言えます。

 この影響力は、今後のクラウドサービスをどう変えていくのでしょうか、あるいは今度はクラウドベンダー側から何らかのアクションが起きてくるのでしょうか。

 いずれにせよ、こうしたライセンス変更は、クラウドベンダーが提供するオープンソースソフトウェアのマネージドサービスに何らかの影響を及ぼすことになるでしょう。今後こうしたサービスを利用するときには、開発元が提供するサービスの有無やライセンスの在り方などを以前より気にする必要がありそうです。

※開発元による変更後のライセンスは「オープンソースライセンスではない」という意見もあります。この記事ではその点には踏み込まず、そのままオープンソースと表記しています。ご了承ください。

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