コレ1枚で分かる「クラウドがSIビジネスを崩壊に追い込む理由」即席!3分で分かるITトレンド(2/2 ページ)

» 2019年03月29日 07時00分 公開
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「SI事業者まかせから内製化へ」で変わる潮流

 ただ、最近では、「デジタルトランスフォーメーション(DX)」や「攻めのIT」といった事業の競争力を生み出すIT利用への関心が高まる中、ユーザー企業の事業部門がエンジニアを雇用し、内製化を進めようとしています。

 彼らには、不確実性の高いビジネス環境のもと、初期投資リスクをできるだけ回避するとともに、変更に即応できるITを利用したいという思惑もあります。

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 そうなれば必然的に、クラウドを前提とするアジャイル開発やDevOpsを駆使した開発、運用へと向かうでしょう。このような事業価値を拡大することを目指す「戦略的価値を高めるためのクラウド利用」は、投資対効果が確保できるのであれば、需要は拡大していくでしょう。

 一方で、既存の情報システム部門は、「既存サービスの運用や保守のレベルをそのままに、コストを削減したい」というモチベーションを持ち続けており、売上と利益を縮小させるプレッシャーをSI事業者に与え続けていきます。

 そして、その行きつく先は、「コスト削減のためのクラウド利用」へと向かうでしょう。コストは削減することが正義であり、この領域でのクラウド利用は、SaaSや運用の自動化の範囲を拡大します。

 SI事業者は、この現実に向き合わなくてはなりません。すなわち、求められるのは、ユーザー企業の内製化支援と既存システムのクラウド移行の促進です。

 ともに工数の拡大を目指すことを事業目的に据えているSI事業者にとっては、あきらかに利益相反となりますが、それがユーザー企業のニーズであるとすれば、そこにビジネスを見いだしていく必要があります。そうしなければ、企業を成長させることも、あるいは生き残ることさえも難しくなるでしょう。

著者プロフィール:斎藤昌義

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 日本IBMで営業として大手電気・電子製造業の顧客を担当。1995年に日本IBMを退職し、次代のITビジネス開発と人材育成を支援するネットコマースを設立。代表取締役に就任し、現在に至る。詳しいプロフィールはこちら。最新テクノロジーやビジネスの動向をまとめたプレゼンテーションデータをロイヤルティーフリーで提供する「ITビジネス・プレゼンテーション・ライブラリー/LiBRA」はこちら


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