日本オラクルは2019年5月8日に次世代データセンターを東京リージョンに開設したと発表した。また、大阪リージョンの次世代データセンター開設と日本における「Oracle Cloud」の戦略が発表された。
日本オラクルは2019年5月8日、「Oracle Cloud」の顧客に向けた“次世代データセンター”を東京リージョンに開設し、サービス提供を開始したと発表した。2019年11月ごろをめどに、大阪リージョンも開設予定だ。
日本オラクルは既に、同様の次世代型データセンターを欧米に展開。アジア太平洋地域では、今回の東京を皮切りに韓国のソウルやインドのムンバイなどで建設を進め、最終的には全世界で20カ所に展開を目指すという。
Oracle Cloudは、企業向けにSaaS(Software as a Service)、IaaS(Infrastructure as a Service)、Platform as a Service(PaaS)などを提供するクラウドサービス群。完全なクラウド環境やハイブリッド環境での運用にも対応する。
同社は従来、富士通と共同で運営するデータセンターでOracle Cloudの運用を続けていたが、次世代データセンターでは、Oracle Cloudに加わる次世代クラウドサービス群「Generation 2 Cloud(以下、Gen 2 Cloud)」を提供し、完全な自社運用に切り替える。
Amazon Web ServiceやGoogle、Microsoftなど、企業向けクラウドサービス業界には既に競合がひしめいている。オラクルが今回のGen 2 Cloudで提供する強みとは何なのか。
5月8日に開かれた記者発表会に登壇した日本オラクルのフランク・オーバーマイヤー取締役 執行役社長兼CEOは、同日に起こったJALのシステム障害に触れ、「さまざまな業務ニーズや脅威が生じる中、これからの企業にとっては、機械学習やAIを活用し、重要なシステムをどれだけ自律的に運用するかが重要だ」と語った。
Gen 2 Cloudは、セキュリティや拡張機能を強化し、これまでオンプレミスで運用されてきた基幹システムやデータベースのクラウド運用を可能にする。また、Gen 2 Cloudのみで稼働し、機械学習機能や運用の自動化機能を備えた自律型データベース「Oracle Autonomous Database(以下、Autonomous Database)」を備え、顧客に信頼性の高い運用環境を提供するとしている。
同社によれば、Autonomous Databaseは自律型のクラウドサービスを実現するという。顧客側へもたらすメリットは、導入の迅速化や運用コスト削減、データ保護の強化などさまざまだ。
同社の執行役員であり、クラウドプラットフォーム戦略統括を務める竹爪慎治氏は、導入にかかる期間短縮について、「例として挙げれば、これまで3カ月かかっていた作業が、1日で終わるくらいに短縮できる」と話した。
また運用面では、セキュリティパッチの適用など、今まで現場の人間が行ってきた作業を自動化することで、人為的なエラーを減らし、現場の従業員が開発やデータ解析といった作業に時間を割けるようにするという。
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