超音波検査の「音響陰影」をAIで自動検知、検査精度の低下を防ぐ 理化学研究所ら

理化学研究所らの研究グループは、超音波検査において発生する「音響陰影」を、AIによって自動検知する技術を開発した。診断時にリアルタイムで超音波検査画像を処理し、誤った異常検知を防ぐ。

» 2019年07月30日 13時20分 公開
[ITmedia]

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 理化学研究所(理研)らによる研究グループは2019年7月26日、超音波検査画像の「影」を、人工知能(AI)によって自動検出する技術を開発したと発表した。

ラベルなしデータで超音波画像の影を学習するモデル ラベルなしデータで超音波画像の影を学習するモデル(出典:富士通)

 共同研究グループを構成するのは、理化学研究所 革新知能統合研究センター 目的指向基盤技術研究グループ がん探索医療研究チームと、理研AIP-富士通連携センター、昭和大学 医学部 産婦人科学講座、国立がん研究センター 研究所 がん分子修飾制御学分野の4機関。

 超音波検査は超音波探接子(プローブ)からビームを発信、受信して体内を可視化する仕組みで、妊婦健診や成人循環器、がん検診などで広く用いられている。

 しかし、超音波検査には「音響陰影」と呼ばれる影が発生する。音響陰影とは、プローブから発信された超音波が骨などの構造物に反射して、構造物の奥にある場所の画像情報を取得できず、黒い影が映る現象。診断に必要な臓器に音響陰影が発生すると、検査そのものの精度を著しく低下させてしまう。

 今回、共同研究グループが発表したのは、ディープラーニングによるラベルなしデータでの学習で、影を自動検出する手法である。発表によれば、従来の手法よりも高い精度で影を検出できることを確認したという。

実際の画像と特徴量からの復元画像で「偽りの影」を見抜く

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