「パスワードをクラウド上のExcelシートで管理」に一手間加えて安全に半径300メートルのIT(3/3 ページ)

» 2019年10月23日 07時00分 公開
[宮田健ITmedia]
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運転免許、パスポート、保険データなどの保存も

 Vaultとは、金庫のこと。オンライン上の金庫に、機密性の高い重要なファイルを入れておけば、万が一クラウドストレージが不正アクセスを受けたとしても、情報を守れる確率が上がるでしょう。

 これまで「大事な情報をデジタルで、クラウド上に保存」という行為に不安を感じていた方でも、これなら納得できるのではないかと思います。

 また、パスワードファイル以外にも、例えば「運転免許証」「パスポート」「健康保険証」などをスマホカメラで撮影し、この個人用Vaultに入れておくというのも便利かもしれません。OneDriveのアプリ経由で撮影すれば「個人用Vaultに直接保存」が可能なので、端末のフォトライブラリに一瞬でも個人的な情報を残さず、安全にクラウド保存することが可能です。

 Office 365のサブスクリプションを契約している場合は、個人用Vault内に保存できるデータ数に制限はありません。一方で、無料のOneDriveユーザーには機能制限があり「ファイル3つまで」となっています。まずは無料アカウントを取得して、1つのパスワード管理ファイルから始めてみてはいかがでしょうか。

OneDriveでも推奨する個人情報が一覧されるのが興味深いです

……でも、やっぱりもう一段上を目指してみよう

 これまでも、似たようなツールは存在していました。例えばWindowsでは「BitLocker」といったファイル暗号化機能がありましたが、利用するにはHomeではなく上位版のPro相当が必要でしたので、企業組織以外では使いにくいものでした。個人用Vaultは無料です。積極的に使っていくといいでしょう。

 ただし、パスワード管理という意味では、通常のサイトはWebブラウザのパスワード保存機能を使い、お金や人生に関係するサービスのみ、上記の方法でテキストファイルによるパスワード管理をする、という使い方が便利かもしれません(一番のオススメはパスワード管理ソフトを利用することです!)。その場合はPCやスマートフォンの画面ロックを設定し、背後からの視線には十分に気を付けてください。デジタル的には安全でも、「ショルダーハック」と呼ばれるアナログな不正アクセスには、弱い方法ですから。

著者紹介:宮田健(みやた・たけし)

『Q&Aで考えるセキュリティ入門「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』

元@ITの編集者としてセキュリティ分野を担当。現在はフリーライターとして、ITやエンターテインメント情報を追いかけている。自分の生活を変える新しいデジタルガジェットを求め、趣味と仕事を公私混同しつつ日々試行錯誤中。

2019年2月1日に2冊目の本『Q&Aで考えるセキュリティ入門 「木曜日のフルット」と学ぼう!〈漫画キャラで学ぶ大人のビジネス教養シリーズ〉』(エムディエヌコーポレーション)が発売。スマートフォンやPCにある大切なデータや個人情報を、インターネット上の「悪意ある攻撃」などから守るための基本知識をQ&Aのクイズ形式で楽しく学べる。


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