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» 2019年11月12日 07時00分 公開

あなたの会社のレガシーシステムは大丈夫? 「2025年の崖」に負けないシステムプランニング術 (1/2)

多くの企業が支えるレガシーシステムは、維持運用に多額のコストを費やし続ける可能性がある。新しいシステムを導入するとき、どのような点に気を付けるべきなのだろうか。

[吉村哲樹,ITmedia]

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 経済産業省が2018年に発表した、いわゆる「2025年の崖」問題が市場をにぎわせている。古くから残るシステムを維持運用する場合のリスクや今後のリプレースにかかる費用など、企業を悩ませる問題はさまざまだ。また、ただ古いシステムを“レガシー”と一言でくくるのは簡単だが、経営リスクにつながるような問題を抱えるものには一定の特徴がある。

 企業がレガシーシステムを巡るリスクをうまく把握し、IT投資を賢く活用して“崖っぷち”から抜け出すには何が必要なのか? 2019年10月、アイ・ティ・アール(以下、ITR)主催のイベント「IT Trend 2019」に登壇したプリンシパル・アナリストの浅利浩一氏は、この問題を取り上げた上で、さまざまな指針を紹介した。

レガシーシステムに対して企業はどのような意識を持っているのか?

アイ・ティ・アール(以下、ITR)の浅利浩一氏(プリンシパル・アナリスト)

 浅利氏は、まずITRが2019年9月に調査した企業のエンタープライズシステムへの取り組み状況に関するアンケート調査の結果を紹介した。本調査はエンタープライズシステムを「新規分野」「ITインフラ系」「アナリティクス」「本社系」など10のジャンルに分類した上で、それぞれに対する企業の意識や取り組み状況が相対的に確認できるものだ。

 まず「どのようなシステムを重視するか?」という質問に対しては、「新規分野」「ITインフラ系」を挙げる回答が多かった。この結果について浅利氏は、「現在盛んに取り沙汰されているデジタルトランスフォーメーション(DX)の動きを取り込みながら、新しい分野でビジネスを強化していこうという企業の意欲がそのまま表れている」と考察する。

 その一方で多くの企業が頭を悩ませているのが、長年運用し続けてきた結果老朽化が著しい「レガシーシステム」だ。経済産業省が2018年9月に発表した「DXレポート」は、多くの日本企業がレガシーシステムの維持運用に多額のコストを費やし続ければ、2025年には年間12兆円の経済損失が生じると試算している。この「2025年の崖」問題が各所で議論を巻き起こす中、ITRの同調査においてもレガシーシステムについて興味深い結果が出たという。

 「どのようなシステムがレガシー化しているか?」という質問に対しては、「業種特化・事業系」「予算・経費管理」「財務・会計」といった回答が多く寄せられた。また、B2B企業よりB2C企業の方が全体的にシステムのレガシー化を問題視しているという結果が得られた。この傾向について浅利氏は、「B2C企業ではシステムの利用者数が多いため、このような結果が出たのではないか」と推察する。

 また「レガシー化しているシステムの経過年数は?」という質問に対しては、「5年から15年」のゾーンに回答が集中する一方で、たとえ3年以内であっても「レガシー化している」と答える回答者も多い。

 「当初掲げた理想との乖離が大きいシステムに関しては、たとえ経過年数がさほど長くなくとも『レガシー化している』と感じられることが多いのではないか。『レガシー』というと経過年数が長い骨とう品のようなシステムのことを思い浮かべがちだが、現在進行形でレガシー化が進行しているシステムにも着目すべきだ」(浅利氏)

 こうしたレガシーシステムを「2025年までに刷新する計画はあるか?」との質問に対しては、全てのシステム分野に渡って過半数以上の回答が「全面的、もしくは部分的なシステム強化、刷新を計画している」と答える。レガシーシステムの刷新に対して企業が前向きに考えていることがうかがえる。

 別の調査でもレガシーシステムの刷新が進んでいるとの結果が出ている。ITRが2019年1〜3月に行った市場調査「ITR Market View ERP市場 2019」によれば、国内ERPシステムの提供、運用形態を「SaaS」「パッケージ(IaaS)」「パッケージ(オンプレミス)」の3種類に分類。SaaSとIaaSが占める割合が年々増えており、2018年度の時点で既に全体の約半数を占めていて、2022年には9割近くを占めるとの予想が出ている。

なぜシステムはレガシー化してしまうのか?

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