「けしからん!」「規則主義」「属人化」は生産性向上の敵!? 事例で分かる業務可視化の必勝法RPA化のその前に、今日からはじめる業務可視化(2/2 ページ)

» 2019年12月13日 08時00分 公開
[池邉竜一キューアンドエーワークス]
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おつりがくるほどの成果

 ここで多店舗展開するエンターテインメント企業の例を挙げましょう。この企業には、長年に渡り、経理、財務、人事総務の管理系業務を一手に担っている担当者がいましたが、体調不良を理由に突如退職することになりました。

 ところが、後任の採用は難航し、困り果てた経営者の方から「人の運用に頼れば、また同じことが繰り返されるので、RPA化で属人化の運用を脱することはできないだろうか?」と当社に相談がありました。

 相談を受け、まず前任者の方に協力を仰ぎ、可視化ツールを通じて業務を棚卸し、可視化しました。しかし、当人に頼るのはこの「引き継ぎ」までです。そこからは、また可視化ツールを活用して「引き継いだ業務」の「改善」を実施しました。

 その結果、前任のやり方は、IT知識の欠如に起因した非効率的な業務フローだったことが判明しました。まさにExcelシートのバケツリレーのような業務運用だったのです。

 そこで、Excelシートの必要性を可視化ツールで一つ一つ精査し、必要な部分は処理のRPA化を計りました。最終的には、店舗から上がってくるExcelシートの情報を基にRPAがその処理を実行するフローに変更し、前任から引き継いだ業務を無人で運用できるようになりました。

 これによって、「これまで掛かっていた人件費からRPAのライセンス費用を差し引いたとしても年間でおつりがくる」と、経営陣も大満足の結果となりました。また、それ以上に「人材の補充について悩まなくても済むことが、本当にありがたい!」と無人化を大変喜んでいました。それ以降、この企業は、「RoboRoid-HIT.s」を活用してムダのない引き継ぎを実現しています。

週休3日も夢ではない

 企業規模を問わず、業務の可視化を通じて、経営者、管理者、現場が三位一体となった改善活動を継続できれば、そこに必ず余力の時間が生まれます。その時間を生かして、人は人にしかできない業務を行い、スキルを磨き、効率よく働けるようになります。

 一方で生産性が向上すれば、企業にもさまざまなワークスタイルを許容できる経済的な余力が生まれます。経営者がその余力を生かし、就業時間の短縮や有給休暇の奨励、生産性向上による賃金のアップといった施策を実施すれば、「働く人々全てのモチベーションアップ!」につながります。可視化によって生み出された余力が、企業にどれほどの経済効果をもたらすかは計り知れません。もしかすると先進的な企業が行っている「週休3日」という制度も当たり前になるかもしれませんね。

可視化で競争力を高める

 いずれにせよ、本連載が皆さまの業務に対する可視化の重要性について考えるきっかけとなり、企業の競争力を高めるための第一歩を踏み出す助けになれば幸いです。

企業紹介:キューアンドエーワークス

RPA(Robotic Process Automation)導入支援事業ならびに、人材派遣・技術者派遣、BPO・アウトソーシング、さらにRPAの諸スキルを持ちえたヒューマンリソースとAI・ロボットを組み合わせたデータインテリジェンスコンサルティングなど、企業ニーズに合わせた幅広いサービスを展開する。2015年4月に第1期「優良派遣事業者」に認定される。

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