日立が統合管理ツール「JP1」の最新バージョンである「V12.1」と同時に、運用管理分野でNECとの協業拡大を発表した。その最新機能と、担当者が“渡りに船”と語った、NECとの協業によって強化したRPA関連のニーズとは。
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日立製作所(以下、日立)は2020年1月23日、統合管理ツール「JP1」の最新バージョン「JP1 V12.1」(以下、V12.1)を発表した。マルチクラウドやハイブリッドクラウドといったシステム環境の変化に対応し、障害の回避や発生時の対応の迅速化を目的とした機能を充実させた。
また、同社は今後NECとの協業を拡大し、システム全般の運用改善やRPA運用支援に向けたツールを相互にOEMとして提供する。
V12.1は、運用データを一元管理、可視化する機能を新たに強化した。具体的には、JP1のうち、イベントを監視してナレッジ別に分類し、可視化して分析する「JP1/Integrated Management2」(以下、JP1/IM2)の中で、基幹システム中で自動化された業務が何らかの理由で実行されないまま一定数までたまった場合に“業務停止につながる恐れのある異常”として管理者に通知する。その際「トレンド情報画面」として、運用データの中から当該の異常に関連する可能性のあるものを自動的に抽出して表示する。
従来のJP1では、障害発生時の影響範囲表示で、データベースやアプリケーションの稼働状況までしか把握できなかったが、V12.1は「JP1/Network Node Manager i」(JP1/NNMi)によってネットワーク機器を、「JP1/Operations Analytics」(JP1/OA)によって仮想マシン、コンテナなどの稼働状況も把握できるようになった。これにより、障害発生時に関連するインフラを特定できるようになった。システム環境をマルチクラウドやハイブリッドクラウドに移行する企業が増える中、複雑化するシステム統合運用のニーズに対応する形だ。
今回の機能強化の意図について、日立の加藤恵理氏(サービスプラットフォーム事業本部)は「業務システムの運用中に起こる障害の多くは、ディスク容量の枯渇やネットワークの性能低下といったインフラに起因している。大企業の場合は特に、業務の処理状況を見る担当者とインフラの担当者が別々にいるため、障害が起こった場合に原因を特定しにくくなりがちだ。
また、障害発生時に担当者が集まってホワイトボードなどに手で図を描くといったやり方で障害の原因を探る場合、原因の切り分けだけで半日かかってしまうといったケースも聞く。そうした現状を変える支援をしたい」と話す。
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