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» 2020年03月10日 07時00分 公開

Microsoft Focus:プログラミング必修化で日本PC市場にバブルが来るか ついに始まった「GIGAスクール構想」 (1/2)

義務教育機関におけるICT教育の計画として「GIGAスクール構想」がスタートした。2023年までに小中学校の児童生徒が1人1台端末を持ち、高速大容量の通信を利用できる環境構築を目指す。これはPCでベンダーにとって大きなバブルとなるのか。

[大河原克行,ITmedia]

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 2019年12月5日に閣議決定した「安心と成長の未来を拓く総合経済対策」では「2023年度までに小学校および中学校の全学年の児童生徒一人ひとりがそれぞれ端末を持ち、十分に活用できる環境の実現を目指すこと」が盛り込まれたほか、学校における高速大容量のネットワーク環境(校内LAN)の整備を推進することが明言された。さらに同年12月13日に閣議決定した令和元年度補正予算案はこの整備に向けた予算を計上し、2020年1月30日に成立した。

 これによって2018年度から始まった「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」による毎年1805億円の地方財政措置に、令和元年度補正予算による2318億円(公立2173億円、私立119億円、国立26億円)の整備予算が加わり、いよいよICT機器の「1人1台環境」の整備が進められることになる。

 「GIGA(Global and Innovation Gateway for All)スクール構想」がいよいよスタートを切ったのだ。

GIGAスクール対応PCを投入するPCメーカー各社の幹部 GIGAスクール対応PCを投入するPCメーカー各社の幹部

「全ての子供にICT機器を」具体的なスペックとは

 GIGAスクール構想にはいくつかのポイントがある。

 まず、目玉となる「児童生徒1人1台環境」の整備においては「1台あたり4万5000円の補助」と「2020年度中に全ての小学校、中学校、高校、特別支援学校において1Gbpsの高速大容量の通信ネットワークを完備すること」「それらは都道府県単位を基本とした共同調達によって効率的に調達すること」を明言。さらにこれらの整備によって「誰一人取り残すことがない、個別最適化された学びの実現」および「子供一人一人に個別最適化され、創造性を育める教育ICT環境の実現」を目指す。そのために「1人当たり1アカウント」の環境整備や、データを安心して利用できる環境の整備も想定したものになっている。

 また同構想には、導入するPCおよびタブレットの仕様も指定されている。

 Windows PCの場合、搭載OSは「Windows 10 Pro」であること。CPUはIntel Celeronおよび同等以上のものであり、2016年8月以降に製品化されたものに限定する。ストレージは64GB以上、メモリは4GB以上、画面はタッチパネル対応の9〜14インチであること(11〜13インチが望ましい)、無線LANおよびLTE通信に対応すること(本体内蔵または外付けドングルを使用)。形状はデタッチャブル型またはコンバーティブル型の2in1とし、インカメラおよびアウトカメラを搭載。バッテリー駆動時間は8時間以上、重量は1.5キログラム未満としている。

 Chrome OS搭載デバイスの場合、CPUとメモリ、バッテリー駆動時間、重量などはWindows搭載PCと同じ仕様とする。ただしストレージは32GB以上としている。

 iPadの場合はストレージ32GB以上、画面は10.2〜12.9インチ。利用時に端末を自立させるためのスタンドを端末台数分用意すること(キーボードがスタンドになる場合は別途準備する必要はない)という要件が加わっている。

学習者用端末の標準仕様 学習者用端末の標準仕様(出典:文部科学省)

 日本マイクロソフト 執行役員 コンシューマー&デバイス事業本部 デバイスパートナー営業統括本部長の梅田成二氏は「指定された仕様については『スペックが低い』という指摘もある。しかしGIGAスクール構想が示される前に当社を含む3社のOSベンダがヒアリングを受けて決定したものだ。4GBメモリや64GBのストレージ、Celeronベースになるが、新たなアーテキクチャであり、学校でアプリケーションを利用する上では問題がないと判断している」と述べている。

 なお端末の整備は、2020年度に小学校5、6年生、中学校1年生で実施する。続いて2021年度に中学校2、3年生、2022年度に小学校3、4年生。2023年度に小学校1年生、2年生を対象に実施する。

 文部科学省が発表した「学校における教育の情報化の実態等に関する調査結果」によると、2019年3月1日時点での児童生徒数は1167万3644人。一方で教育用コンピュータの設置台数は216万9850台となり、5.4人に1台という水準にとどまる。

 1人1台環境を実現するためには950万台規模の新規導入が必要となる。国内PC市場の2018年度出荷実績1183万台(MM総研調べ)に対して、7割強にあたる新たな需要が見込まれる計算だ。

 一方で教員に対しては、日常的にITを活用できる環境を整備する。教職員支援機構が2021年1月から各地域における指導者を養成する研修を実施するほか、校務の効率化による教育の働き方改革にも取り組むことになる。ここでもIT業界にとってはビジネスチャンスが生まれる可能性がある。

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