テレワークで実現する「ビジネスの即応性」――予想不可能な変化への対応手段とはCitrix Overseas Report

混乱した状況でビジネスコンティニュイティを維持するには、従業員がどこからでもセキュアに働けるような、柔軟な業務体制とワークプレーステクノロジーが必要だ

» 2020年04月08日 07時00分 公開
[尾羽沢 功シトリックス・システムズ・ジャパン]

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 新型コロナウイルス(COVID-19)によるグローバル経済への影響が拡大してます。各国の企業が出張を控えたり、特定の地域の従業員に対して社会的距離を維持したりといった対処を余儀なくされ、それによって企業の生産性が低下しています。主要市場への製造停止に伴うサプライチェーンの中断から、企業の業績見通しが引き下げられています。

 現状では、状況がどこまで悪化するかの予測は困難です。しかし、このような中で従業員のエンゲージメントや顧客からのサポートを維持するには「柔軟な勤務モデル」と「セキュアなリモートワークプレースのための技術」が必要とされることは明らかです。

 クラウドが持つ自動化や規模、偏在性を活用すれば、従業員が安全に必要な情報やアプリケーションにアクセスしてコラボレーションを進め、自宅やその他の居場所から仕事を進められます。

 事業継続の基盤にデジタルワークスペーステクノロジーを導入している組織は、予測不可能な要求にも動的に対応できるリソース管理に求められる敏速性やスピード、および効率が得られることが示されてきました。以下にその例を挙げます。

人間の移動が制限される中で「教育の継続」を実現した大学

シドニー大学 シドニー大学(出店:Citrix)

 シドニー大学では、コロナウイルスに関連した不確実性と旅行禁止によって14000人を超える学生が中国からオーストラリアに渡航できなくなりました。同大学は教職員と学生のコミュニケーションを維持すると共に授業をオンラインで継続するため、デジタルワークスペーステクノロジーの利用を開始しました。

 シドニー大学ICT、Client Technology、副学部長であるジョーダン・キャトリング氏は次のように述べています。「最も重要なのは学生、教職員、およびコミュニティメンバーの安全とセキュリティです。シドニー大学ならではの質の高い教育を教職員が行えるよう、知識の共有と取り込みを『安全でセキュリティ の確保された手段』で実現するテクノロジーを学ぶ必要がありました」

 同大学はデジタルワークスペースソリューションを活用し、快適かつ安全に自宅から教育と学習を継続できるよう、中国にいる教職員と学生を必要なアプリケーションとデータに結び付けています。

ビジネスとグローバル経済の発展は「未開発人材プール」の活用から

 デジタルワークスペースは、他の企業や組織によって継続運用するビジネス即応性プランの基盤とされています。カリフォルニア州のコロナ市で副CIOを務めるカイル・エッジワース氏は次のように述べています。「ディザスタリカバリーの観点から、職員がどこからでも職務を遂行できることが求められています。緊急時には敏速に行動できなければなりません。またシステムやデータへのアクセスも必要です」

 コロナ市はエルシノア断層帯の上にあり、過去2年の間に何度も深刻な山火事に見舞われています。同市は市民の避難や家屋の焼失を余儀なくされた経験から、事業継続のためのプラットフォーム確立を目的としたより幅広いクラウドファースト戦略の一環として、デジタルワークスペースソリューションを導入しました。

 「仕事に必要なあらゆるものにクラウドからアクセスできる、と職員が理解する段階に到達したいと考えています」とエッジワース氏は述べています。

 柔軟な勤務とデジタルワークスペースによる確実な即応性プログラムは、成長と競争力の源泉となり得ることも立証されています。Center for Economics and Business Research(Cebr)が最近実施した調査では、現在無職または経済活動を行っていない人々の69%は「柔軟な勤務が可能なら仕事を始めたい」と回答しています。

 デジタルワークスペーステクノロジーによって在宅勤務を求める人材や都市に在住していない人材、定年退職者、およびパートタイムのギグワーカーといった未開発の人材プールを活用すれば、ビジネスとグローバル経済に改善がもたらされる可能性が生まれます。

地域コミュニティの活性化とサステナブルビジネスの発展

 Cebrの調査によれば、リモートワークによって通勤に伴う時間と費用が削減されると勤務者は年間1070億ドル(約11兆5500億円)を節約し、それを地域コミュニティに還元できるとされています。

 また、環境面での利益も実現します。「サステナビリティ」はもはやリップサービスの段階ではなく、企業の重要な目標の一つとなっています。企業が自らのカーボンフットプリント削減に乗り出すことが増えてきていますが、リモートワークはこのためのコスト効率に優れたシンプルな手段となっています。柔軟な業務形態の導入拡大によって企業のオフィスはより小規模になり、通勤時間や道路を走るクルマの数も削減されます。またRegusが2018年に行った調査によれば、これらの対処による二酸化炭素排出の削減効果は年間2億1400万トンに達する可能性があります。

 ビジネスにおいて確実なものはほとんど存在しません。その例外が変化です。変化のペースはこれまでになく加速されてきています。従業員が最高の状態と成果を達成するために必要なすべてのものを提供する、柔軟なデジタル環境構築を目的としてデジタルワークスペースソリューションを導入する企業は、ビジネスを維持できるだけでなく、それをさらに前へと迅速に進めることができるでしょう。

尾羽沢 功 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社

シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社 代表取締役社長

2019年4月 シトリックス・システムズ・ジャパン株式会社に入社、同年4月18日、代表取締役 社長に就任し、日本市場における営業、マーケティング、新規事業開発など、営業およびサービス 事業全般を統括しています。


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