GitLabのリモート統括責任者が語る 日本企業が「まずやるべきこと」

GitLabは、2015年の創業当時から現在に至るまで、自社オフィスを持たない企業だ。同社の従業員は、CEOを含めた全員がテレワークで勤務している。GitLabのリモート統括責任者が語るテレワークで組織を運営するノウハウとは。

» 2020年10月22日 07時00分 公開
[田渕聖人ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 ソフトウェア企業のGitLabは、2015年の創業当時から現在に至るまで、自社オフィスを持たないことで知られる。同社の従業員は、世界68カ国に分散し1300人を超える。CEOを含む全員がテレワーク勤務だ。

 GitLabは、これまで同社内で培ってきたテレワークを前提とした組織運営のノウハウを他企業に伝える取り組みを積極的に進めている。コロナ禍に同社が無料で公開したテレワークのガイドブック「The GitLab Remote Playbook」は、7万以上ダウンロードされた。

GitLabのリモート統括責任者ダレン・マーフ氏

 2020年10月16日、GitLabの「リモート統括責任者」ダレン・マーフ氏が、テレワークで組織を運営するノウハウや同社の成功した取り組みについて語った。全社のコミュニケーションを取りまとめる同氏から、テレワーク実施時の組織運営の心得を聞いた。

透明性の確保のため、全てを徹底してドキュメント化せよ

 マーフ氏は、組織がテレワーク環境を整えるには「自社の取り組みを全て文書で明記し、透明性を確保する必要がある」と指摘する。

 これを顕著に表すのが同社の従業員に向けた「GitLab Handbook」だろう。GitLab Handbookは、同社の企業文化や各部署の業務プロセス、ベストプラクティスなどを網羅的に記した業務マニュアルだ。従業員向けのドキュメントだが誰でも閲覧できる。

 GitLabは、給与計算方法についてもドキュメントで明記している。「GitLab Compensation Calculator」は、従業員向けの給与計算ツールだ。同社の給与は、従業員の役職に応じて現地通貨を現地レートに換算して支払われる。給与をどういう計算で支払っているのかを厳密に記載することで高い透明性を実現する。

 「これにより、テレワークにおいて平等に仕事をする環境を確立できる。給与計算の方程式が不明瞭なことで生じるバイアスも取り除く」(マーフ氏)

 GitLabは、上述のThe GitLab Remote Playbookを含むドキュメントをバージョン管理ツールの「Git」で管理している。これらは従業員以外の第三者も閲覧が可能だ。

全社的テレワークで組織が破綻しないために「まずやるべきこと」は3つ

 日本企業がテレワークへの移行をスムーズに実現するためには、何を準備するべきなのだろうか。マーフ氏によると、テレワークで組織が破綻せず良い状態を保つには、上述した従業員マニュアルやテレワーク用ハンドブックの作成に加えて、3つの組織改革が必要だという。

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ