デンソー「DX相談窓口」の仕事とは? 「なくす、へらす、かえる」組織の仕組み(1/2 ページ)

仕事全体の仕組みを変えるDXと小さな改良を継続するカイゼンは相容れない関係ではないかもしれない。デンソーが実践したカイゼン活動はDXにも効果があったという。どんな組織でどんな活動を進めたかを聞いた。

» 2021年02月18日 08時00分 公開
[指田昌夫ITmedia]

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 自動車部品メーカーであるデンソーは、トヨタ生産方式に基づく工場の生産性改善、業務効率化に取り組む企業として知られる。業務改善のスコープにはモノづくりのプロセスだけではなく、デスクワークのカイゼンやデジタル化も含まれる。紙の手続きや部門ごとのワークフローが複雑になりがちのデスクワーク業務はデジタル化によって効率が改善すると期待される領域の一つだが、解決方法を見つけ出しにくいことが指摘される。デンソーのはこの領域にメスを入れ、業務改善活動を推進しているという。

 2021年1月28〜29日にわたり、NTTデータが年次イベント「NTT DATA Innovation Conference 2021」を開催した。「デジタルで創る新しい社会」をテーマに金融、社会インフラ、製造業、流通業など、さまざまな分野での事例や講演、展示が配信された。本稿はその中から、デンソーの伊藤逸也氏(ITデジタル本部データ活用推進室 データ基盤適用課担当係長)による講演「RPAからDXへの発展 ― 生産性をアップしデジタルで変革を起こす、日本企業の切り札『KAIZEN2.0』」の内容を紹介する。

組織の中に「やめる、へらす、かえる」を考える仕組みを作る

1 デンソー 伊藤逸也氏

 伊藤氏は、デンソー社内で業務改善を推進する組織の一員として、他の2人のメンバーとともに全社の「RPA事務局」を運営している。同社のRPA推進体制は、現場主導型の導入方針をとる。RPA事務局は、業務現場のユーザーと社内の他部署、社外ベンダーなどとの連携を調整したり、社内向けに情報公開する役割を担う。RPAと聞くと、入力作業などの自動化が中心と考えがちだが、伊藤氏らの活動はその範囲に留まるものではなかった。

 RPA事務局の活動の中心は、2018年4月に20人でスタートした有志集団の「RPAサークル」だ。2019年12月には170人のメンバーだったが、直近の2020年12月には708人に急増した。メンバーの拡大と施策の成功は、事務局による「やめる、へらす、かえる」と「DX相談窓口」設置の功績が大きい。

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