「データ活用」と「データドリブン」、何が違うか

「データ活用」と「データドリブン」の違いはどこにあるだろうか。「もう十分にデータを活用している」と自負する企業も、実はデータドリブンな活動には至っていない可能性がある。データドリブンな組織に求められるデータの性質を考える。

» 2021年04月05日 17時00分 公開
[ITmedia]

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 ITmedia エンタープライズ編集部ではデータ活用ソリューションに注目して取材してきた「データ活用」コーナーを、新たにDX時代のデータドリブンな事業運営を支援する情報を扱う「Digital Business + design」としてリニューアルする。リニューアルに当たり、狭義のデータ活用という枠組みを超えて、あらゆる情報のデジタル化を前提に、企業や事業そのものの姿を設計するための方法論や技術トレンド、先行事例を新たに集約する。

 データ活用が語られる以前、ITシステムが整備される以前から、企業はさまざまなデータを使って事業を推進してきた。情報技術が普及したことでシステム化が進み、そのデータをITツールを駆使してさまざまな意思決定に役立てるアイデアも多くの企業が取り込んでいることだろう。だが、昨今話題になる事が多い、データに基づく意思決定を推進する「データドリブンな事業運営」といったときに、今までのデータ活用では対処できない問題がある。

読者の7割はDX「着手」止まり

 日本企業のDX推進は遅れているとされる。経済産業省はIPA「DX推進指標」を使った企業の自己診断結果を発表しているが、それによると9割の企業がDX推進について未着手か途上の段階だと分かった。「DXレポート2(中間とりまとめ)」はこの結果を「想定以上に遅れている」と評価する。

 ITmedia エンタープライズ編集部が実施した読者調査「読者調査2021 DX編」(2021年1月21〜29日オンライン調査、有効回答数346件)では、全体の7割がデジタルトランスフォーメーション(DX)推進に向けて何らかの取り組みに着手している段階だった。

 媒体特性としてDXに関心がある読者が多いことも考慮に入れる必要があるが、その中にあっても全体の約4割は「検証〜今後着手予定」だったことから、多くの企業が現在もなおDXの第一歩目の戦略、戦術の検討段階にあると考えられる。

DXの進展度合い(ITmedia エンタープライズ「読者調査2021 DX編」)

 本調査では、DXの推進主体がどの部門に属するかも尋ねている。それによると、情報システム部門にDXを委ねるとした組織は半数以下だった。全体の56.4%はIT部門以外のビジネスドメインを理解する人員が主体となってDXを推進することが分かっている。詳細は今後公開する予定なのでそちらを参照いただきたい。

「データ活用」と「データドリブン」、何が違うか

 そもそも企業ははるか昔から経営判断に多数のデータを活用してきた。経営資源の基本である「ヒト」「モノ」「カネ」の数字を管理するERPはその代表といえる。実績データを蓄積し、事業別、商品別の財務情報といったパフォーマンスを「経営ダッシュボード」のような仕組みで一元的に可視化し、経営に役立てる取り組みは今までも実践されてきた。実績値や制約条件を基にした将来予測、計画策定にも取り組んできたことだろう。こうした活動は「データ活用」の一つといえる。

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