クラウド型データ連携基盤「HULFT Square」が提案する「EL+T」型は今後の主流になるか

さまざまなベンダーがデータ連携、データ交換の基盤を提案しつつあるが、セゾン情報が新たなデータ連携基盤を提案する。「もはや顧客はバリューチェーンの終端ではない」との前提に立った設計になっているという。

» 2021年06月24日 02時24分 公開
[原田美穂ITmedia]

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 クラウド型のデータ連携基盤サービスが盛り上がりを見せる。セゾン情報システムズは、クラウド型データ連携プラットフォーム「HULFT Square」(ハルフトスクエア)を開発し、2021年第3四半期から提供する。

 HULFT Squareは基幹システムや業務システムが持つさまざまなデータやシステムと各種SaaSやアプリケーションを連携させるクラウド型データ基盤だ。SaaSとSaaS、SaaSとオンプレミス、SaaSと外部システムの間で、地域を問わずデータを安全にやりとりできるとしている。

HULFT Squareのコンセプト

 セゾン情報システム社長の内田和弘氏はHULFT Squareについて、「マスカスタマイズが進めば、消費者は『バリューチェーン終点』ではなく、生活者を中心に業種業態を横断して価値を提供する仕組みが必要になる。あらゆるプロセスがシステムや国を横断してつながるようになる。同時に従来型の商流の中から必要のないプロセスは整理されていくことになるだろう。ここで生きるのがHULFT Squareだ。既存の『HULFT』をHULFT Squareと併用することで新たな価値を提供できる」と説明する。

 HULFT Squareはグローバルでの展開も想定しており、米国、欧州を皮切りにアジア圏にも順次展開する計画だ。コンプライアンスやガイドラインは業界や地域ごとに多数のルールがある。グローバルで業種を問わずデータを流通させる場合には、各種認証や業界ガイドライン、国ごとのルールへの準拠が求められる。これについてもロードマップを示している。この他、マーケットプレースや業種向けテンプレート類の提供、分析前処理などのデータ分析周辺機能の提供も計画されている。

HULFT Squareのロードマップ案(セゾン情報システムズ発表資料より)
コンプライアンス対応のロードマップ案(セゾン情報システムズ発表資料より)

 製品デモに当たった同社テクノベーションセンターの有馬三郎氏からは「従来、データ連携はETL(Extract、Transform、Load)のアプローチを取ることが一般的だった。だが、近年はまずデータを取り込んだ後に『Azure Synapse』(旧 Azure SQL Data Warehouse)や『Snowflake』などのクラウドデータウェアハウスに接続してデータを変換する「EL+T」型のデータ連携が主流になりつつある」と、直近のデータ連携のトレンドの説明があった。HULFT Squareはまさに「EL+T」型を想定して開発されており、HULFT Squareの先にそれらのクラウドデータウェアハウスを置くことで、さらにデータ活用の幅を広げられるという。

SaaS間連携や古いSAPシステムのデータ救済も視野に HULFT Squareの想定シナリオ

 同社ビジネスイノベーションセンターの広川 守氏からはHULFT Squareの利用シナリオの説明があった。

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