DXに取り組む企業が増える中、国内ITサービス市場ではベンダーの勢力図にも変化が起きているようだ。IDC Japanが興味深い調査結果を発表したのを機に、同市場の最新動向を筆者なりに考察してみたい。
2020年の国内ITサービス市場のベンダー別売上高ランキングでNTTデータが2位に浮上――。IDC Japanが2021年7月12日に発表したこの調査結果に、IT業界で驚きの声が上がった。ランキングの結果は図1に示すように、1位が富士通、2位にNTTデータが前年の3位から順位を上げ、3位は日立製作所、4位にNECが続いた。
ITサービスは、システムの企画から構築、運用、保守サポートに至るトータルソリューションを指す。システムインテグレーター(以下、SIer)がその代表例で、言い換えると、ハードウェアメーカーとは一線を画す言葉でもある。
ただ、国内のIT市場では、富士通、日立、NECの3社がハードウェアとITサービスの両市場で長らく「御三家」といわれてきた。そこにここ数年、SIer専業最大手のNTTデータが食い込むようになり、ついに2位の座を射止めた形だ。
国内ITサービス市場のこれまでの歴史からすると、上記の動きはまさしく「下克上」であるというのが、筆者の見方である。
この動きを機に、本稿では国内ITサービス市場を巡る最新動向を探ってみた。すると、デジタルトランスフォーメーション(DX)をキーワードに、他にも今後の下克上につながるような動きが見て取れるので、以下に紹介しよう。
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