次期リリースでオープン系への刷新が予定されているNTTデータの地銀共同利用システムで、SaaSと連携したオペレーションの自動化効率化が進む。セキュリティ要件を維持しながらSaaSをつなぐ点が特徴だ。今後、勘定系のオペレーションなどにも広く適用する計画だという。
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セキュリティ要件が厳しい金融機関の勘定系システムにもオープン化やSaaS連携による自動化を試みる動きが出てきた。NTTデータは2021年8月10日、自社が運用する地域金融機関5行の共同利用システム「MEJAR」において、システムの維持および運用にSaaS型の業務自動化支援ツール「ServiceNow」を適用したと発表した。MEJARは横浜銀行と東日本銀行、北陸銀行、北海道銀行、七十七銀行が利用する。
金融システムに求められるセキュリティー基準を維持したまま、システムの維持、運用作業を自動化できるとしている。システムの維持、運用作業を自動化することで、作業の間違いやオペレーターの負荷を低減する狙いもある。
NTTデータは、2019年からセキュリティー基準を維持しながら外部サービスと説即する方法やServicenowの活用も検討を進めていた。2020年10月からは本稼働させる前の評価において、システムの一部で試行運用をした際に、新しいプログラムの反映にかかる作業時間を83%削減し、維持運用にかかる作業を全体で約3%削減できたとしている。
金融システムにおいては、厳しいセキュリティー基準が求められるため、SaaSのようにインターネット経由で外部のシステムと接続することは困難が伴うが、NTTデータはSaaSを適用するにあたり、セキュリティーレベルを維持した独自のネットワークを構築してFISC安全対策基準を満たした。セキュリティー品質に関する第三者評価も実施済みだという。
今後もServiceNowをはじめとする外部のサービス、製品の活用を積極的に進め、2024年に稼働予定のMEJAR次期システムやNTTデータが提供する他の金融システムへの適用も目指す。MEJAR次期システムは「金融ITオープン戦略」に基づき、メインフレームの高信頼性を維持してプログラムの互換性を維持した独自のオープン基盤である「Open Service Architecture」(OSA)を採用したシステムだ。
今回のServiceNow活用によって、地域金融機関のシステム運営はどう変わっただろうか。NTTデータは実例とともに効果を示している。
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