SIerは変化せよ――クラウドERP好調の日本オラクル、DX支援の新戦略でパートナーに求める新たな姿勢とは日本企業の“課題”を意識(1/2 ページ)

企業向けにオンプレミスのアプリケーションをクラウドに乗せ換えるだけでは「DXのニーズに応えられない」。そんな思想の下でSaaS戦略に注力する日本オラクルが新たな戦略を発表した。その中身と、日本企業に特有の課題を受けたパートナー施策において、SIerに求める変化とは。

» 2021年08月13日 07時30分 公開
[谷川耕一ITmedia]

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 デジタルトランスフォーメーション(DX)の一環として、ERPをオンプレミスからクラウドに乗り換える企業が相次いでいる。その流れを追い風に、日本市場で業績を伸ばすのが日本オラクルだ。

日本オラクルの善浪広行氏

 「ERPを完全にSaaS(Software as a Service)で導入する流れが、日本市場で本格化してきた」と、日本オラクルの善浪広行氏(執行役員 クラウド・アプリケーション事業統括)は話す。

 単純に今オンプレミスで稼働するERPをクラウドに乗せるのではなく“クラウドネイティブ”な在り方を追求するという同社は、自社の強みだけでなく、課題も意識した事業戦略を展開するという。同社が捉える企業の経営ニーズの変化やITに求められる役割の変化とはどのようなものか。新たな事業戦略のポイントとともに聞いた。

「CXから始まりがち」なDX戦略の課題に、クラウドERPはどうはまるのか

 2021年8月から日本におけるSaaSビジネスの責任者を務める善波氏によれば、三井住友フィナンシャルグループがグループ全体の経理業務をシェアードサービス化した事例は、クラウドを経営戦略にうまく活用した典型的な事例だという。

三井住友フィナンシャルグループは「Oracle Cloud Infrastructure」を基盤に「Oracle Fusion Cloud ERP」を使って経理業務をサービス化し、経営基盤の効率化を進める。SaaS事業を強化する日本オラクルにとって象徴的な事例になったという(出典:日本オラクルの資料)

 企業がDXを実現する際は、CRM(顧客関係管理)を核に、CX(顧客体験)からアプローチすることが多いのが現状だ。

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