「SIのユニクロ化」を目指す AWS専業サーバーワークスがGoogle Cloud取り扱い開始顧客企業のマルチクラウド化は止められない

長くAWS専業で成長してきたクラウドSI企業もいよいよ顧客のマルチクラウド化を前提とした成長戦略を描き出した。サーバーワークスがGoogle Cloudの取り扱いを始める。当初から価格競争力がある体制で挑むため、合弁会社を立ち上げるという。狙いは「SIのユニクロ化」だ。

» 2021年08月17日 15時20分 公開
[原田美穂ITmedia]

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サーバーワークス代表取締役社長の大石 良氏

 Amazon Web Service(AWS)専業ベンダーとして知られるサーバワークスが2021年9月から子会社を通じてGoogle Cloudの取り扱いを開始する。子会社名はG-gen(ジージェン)。韓国を中心にGoogle Cloudのインテグレーション事業を手掛けるBespin Globalと合弁で立ち上げる。Google Cloud専業子会社設立の背景にはユーザー企業のクラウドリフトが一巡し、クラウドシフトに舵を切る一環でマルチクラウドの選択を検討するケースが増えたことが挙げられる。

 サーバーワークスは2009年から日本国内でAWSによるシステムインテグレーションを手掛けてきた。現在は920社を超えるAWS利用顧客を持ち、プレミアコンサルティングパートナーにも認定されている。

韓国Bespin GlobalのCEO兼Co-founderのHanJoo Lee氏は「G-genを介して日本でGoogle Cloudパートナーとして成長していきたい」とコメントした

 Bespin Globalは6カ国に9つのオフィスを持つGoogle Cloud専門のSIerで、すでに3000社超の顧客企業を抱える。ガートナーのクラウドサービスプロバイダー、MSP分野で2020年にリーダーに選出された実績があり、2021年には世界10大ラウドMSPに選出されている。独自のSaaSとしてOpsNow、AlertNow、DevOSなどのSaaS商品群も提供する。

 サーバーワークスは、すでにGoogle Cloudで多数の実績を持ち、条件の良いリソース調達が可能なBespin Globalと組むことでコモディティ商材化したクラウドインテグレーションにおいて価格競争力を強みに攻勢をかける考えだ。

クラウドSIはモジュール化、コモディティ化する

 サーバーワークス代表取締役社長の大石 良氏は、AWS専業を脱却してGoogle Cloud事業に参入する目的について、「ITインフラのユニクロ化(ファストSI化)を目指す」と語る。要求される機能や仕様を逐一開発するのではなく、今ある選択肢の組み合わせで必要なものを素早く手ごろに提供することを、ファストファッションなぞらえたかたちだ。事業運営のアジリティを高めることが求められる企業に対して、マルチクラウドの複数の選択肢を駆使して短納期低価格で要求に応える。

サーバーワークスが目指す「ファストSI」(大石氏の発表資料より)

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