三井化学は人事システム刷新と成長戦略をどうリンクさせるか グローバル人材部長・小野氏に聞く(1/2 ページ)

化学メーカー大手の三井化学が人事システムを刷新中だ。グループ企業を含むグローバル全体でガバナンスを効かせつつ、人材の能力を引き出す仕組みを組み立てる。

» 2021年09月02日 11時30分 公開
[齋藤公二インサイト合同会社]

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 明治45年、三井鉱山の石炭化学事業を発端にさまざまな化学事業に取り組み、複数の企業の統合合併によって成長してきた三井化学。「地球環境との調和の中で、材料・物質の革新と創出を通して高品質の製品とサービスを顧客に提供し、もって広く社会に貢献する」をグループ企業理念に掲げ、現在、エラストマーや機能性コンパウンドなどの「モビリティ事業」、ヘルスケア材料や不織布などの「ヘルスケア事業」、包装フィルムや機能シートなどの「フード & パッケージング事業」、PTA/PETやポリウレタン材料など「基盤素材事業」の4つの主要事業を展開する。

 グループ会社は国内48社、海外108社の156社、連結売上高は1兆2117億円、連結従業員数は1万7979人(いずれも2020年3月末)に達する日本を代表するグローバル化学メーカーだ。三井化学では、長期経営計画「VISION2025」において「イノベーションの追求」「海外展開の加速」「既存事業強化」を基本戦略として推進してきたが、2020年に計画が折り返し地点に入ったことを受け、次期長期計画「VISION2030」として「変化をリードし、サステナブルな未来に貢献するグローバル・ソリューション・パートナーへ」をコンセプトに5つの基本戦略を策定した。

VISION2030の基本戦略。社会課題の解決やDXの推進に加え、グループ全体での機動的な組織運営や価値創出に向けた企業文化の変革などの項目が並ぶ(出典:三井化学)

価値観が変わる次の10年、成長戦略の核は人材マネジメント体制の変革が支える

 このVISION2030では、ありたい姿として「変化をリードし、サステナブルな未来に貢献する グローバル・ソリューション・パートナー」を掲げ、「事業ポートフォリオ変革の追求」「ソリューション型ビジネスモデルの構築」「サーキュラーエコノミーへの対応強化」「DXを通じた企業変革」「経営基盤・事業基盤の変革加速」という5つの基本戦略を設定した。この中でも特に重要な役割に位置付けられたのが人材マネジメントだ。

三井化学 グローバル人材部 部長 小野真吾氏

 三井化学 グローバル人材部 部長の小野真吾氏はこう話す。

 「デジタル化の流れやコロナ禍の流れを受けて、働き方に対する価値観が大きく変わりました。企業には、新しい人材や組織能力を獲得しながら、ビジネスモデルを転換することが求められています。これまでのように従業員を会社がコントロールするのではなく、働く個人の在り方を自主自律型に変え、会社もそれにあわせて、会社と個人の関係性の見直しが求められています。その取り組みを支える重要な要が人材戦略です」(小野氏)

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