効果的なクラウド戦略は1回限りの移行ではなく、方法論を変えることにある。データセンターをクラウドに移して安くしよう、と考えている経営者が知るべきクラウドの真実は。
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新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが始まったとき、クラウドへの移行を急いだ企業はその後に急速に進んだクラウド化やDX推進の動きに対して「先行する傍観者」としてゲームに参入していたのではないだろうか。だが、クラウドへの移行はコスト削減のための1回限りのアクションというわけではなく、継続的なプロセスであることを忘れてはならない。
Accenture Cloud Firstのグローバルリーダーであるカーシック・ナライン氏は「データとシステム、アプリケーションをクラウドにリフトするだけでは不十分だ」と述べる。クラウドでの業務について長期的な計画を立てなければ、結局コスト増や従業員と顧客の不満につながり、全く新しい基盤から生まれるイノベーションが抑制されてしまう。
約4000人の経営幹部を対象としたAccentureの調査(注)によると、企業の3分の2(65%)は、クラウドへの移行により最大10%のコスト削減を実現した。しかし、経営幹部の10人に6人は、クラウドの積極的な管理や継続的な最適化をしておらず、80%はクラウドネイティブのアーキテクチャを積極的には採用していない。
「コスト削減の側面だけに注目すると、クラウドの機能だけでなく、クラウドのビジネスモデルによって企業が得られる機能も利用できなくなる」とナライン氏は言う。このような企業は残念ながら「システムとプロセスを再考することはない」(ナライン氏)。
クラウドへの移行は多くの場合コスト削減への期待もあるが、環境を最適化できていない場合は運用するだけでコストが急騰する可能性がある。
Fujitsu Americaの公共部門のCTO(最高技術責任者)、マシュー・ホン氏は次のように指摘する。
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