ハイブリッドワークで「誰一人取り残さない企業活動」は可能か

テレワークが普及した結果「働く環境の選択」の自由度は格段に増した。テレワークか出勤かの2択ではない多様な働き方の選択を実現する「ハイブリッドワーク」に注目が集まる。

» 2021年11月17日 10時00分 公開

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 「誰一人取り残さない、人に優しいデジタル化」は、2021年10月に発足したデジタル庁が掲げた目標だ。デジタル庁は管轄省庁や自治体単位で分断された行政のIT基盤を整備/統合し、よりよい国民サービスを開発する役割を担う。

 行政がオンラインでのサービス提供を前提にデジタル化を進めるならば、デジタルツールや通信インフラを電気や水道、ガス並みの「誰もが当たり前に使える環境」にする必要がある。通信キャリアにおける低価格帯プランなど、この数年の議論の中で誰も取り残さないデジタル化に向けた布石は多数投じられてきた。自治体と国との連携や国民データ整備もその一環といえる。

 ではデジタル化した社会の経済活動において、誰も取り残さないことは可能だろうか。

 震災やパンデミックといった危機的な状況を経験したことで、テレワークは広く普及し、オンライン会議などの新しいコミュニケーション方法も浸透した。今後は空間そのものの仮想化を試みるメタバースや現実空間を拡張するAR(各超現実)に象徴されるように、モニター画面の制約を超えたオンラインコミュニケーションの方法も模索されている。テクノロジーの恩恵を受けた結果、「働くこと」と「働く環境の選択」を完全に分離して考えられる仕事が格段に増えており、今後も技術革新が進めばさらに多くの人が働く環境を選べるようになると考えられる。

 こうした中、出勤を「主」としテレワークを「副」とするような二元的な勤務の形を超え、労働者側に就労環境を選択する自由を与える

「ハイブリッドワーク」という考え方が注目を集める。既に、日本企業においても海外居住の従業員を国内で採用するケースが出てきた。出張や転勤の制度を廃止する企業や、地域限定採用で働く従業員に本社プロジェクトに参画する機会提供しようと考える企業もある。

多様性を受け入れた上でいいところ取りをするのがハイブリッドワークの本質

 デジタル庁が中心となり2021年10月10〜11日を「デジタルの日」としてデジタル化推進やデジタル庁の取り組みに賛同する組織に啓発活動を呼びかけ、それに呼応した国内のさまざまな企業や業界団体、学会がさまざまなイベントを開催した。その中の1つが日本マイクロソフトが開催したオンラインイベント「Microsoft Japan Digital Days」(2021年10月11〜14日)だ。

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