危機の時代の将来予測ほど難しいものはない。同じような商品を取り扱う企業でも将来予測のシナリオが財務状況の明暗を分ける。将来予測で負けた企業と勝った企業の違いはどこにあるのか。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
食品保存容器の俗称「タッパー」の語源にもなったキッチン用品メーカーTupperware Brands Corporation(以降、Tupperware)は、需要が予想を下回り在庫過剰になったため、幾つかの工場の稼働を停止する。CFO(最高財務責任者)とCOO(最高執行責任者)を兼任するサンドラ・ハリス氏が2021年11月初めの決算発表で述べた。
ハリス氏によればTupperwareは、需要の急増に備えて上半期に意図的に在庫を増やしていた。だが予想に反して需要の急増は起こらなかった。このためTupperwareの工場は「将来必要に応じてダウンタイム」をとる予定で、当面は在庫の積み残しを利用して販売を続ける。
同社が苦しいのは、在庫が積み上がったままのため、製造コストの上昇分を補填できない点だ。Tupperwareは製品の需要が高まれば仮に樹脂など原材料が値上がりしても製造コスト上昇分を売り上げの追加で相殺できるとを期待して生産量を増やしてきたのだった。だがこの予測は外れてしまった。
© Industry Dive. All rights reserved.