近年、リフト&シフトに変わる新たなアプローチとしてクラウドネイティブが注目を集めている。しかし、この概念やメリットを十分に理解できているITリーダーはどのくらいいるのか。Gartnerのフェローがあらためてこれを洗い出した。
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編集者注:本稿は、Gartnerの特任バイスプレジデント・アナリスト兼フェロー、デビッド・スミス氏によるゲスト記事です。スミス氏はクラウドコンピューティングとデジタルディスラプションに関するリサーチアジェンダをリードしています。
「クラウドネイティブ」という言葉は企業のクラウド戦略で使われる機会が増え、一般的な用語となりつつある。ITリーダーは、デジタルトランスフォーメーション(DX)など、さまざまな理由から既にクラウド構想に投資している。
Gartnerが発表した「2022年の戦略的テクノロジートップトレンド」(注)によれば“クラウドネイティブプラットフォーム”(CNP)は、現時点では40%未満だが、2025年までに95%を超える新しいデジタルイニシアチブの基盤になると予測されている。
しかし“クラウドネイティブ”の意味や定義にまつわる混乱は私たちを取り巻く現実的な問題だ。これらの解釈の中には矛盾しているものもあり、ベンダーの都合のいいように解釈する、いわゆる「クラウドネイティブの洗脳」も相当数存在する。
クラウドを活用するには、クラウドネイティブとは何か(そして何がクラウドネイティブではないのか)を徹底的に検討して定義する必要がある。本稿は、ITリーダーがクラウドネイティブのメリットを理解して適切に採用するための指針となる、最も一般的な検討事項を幾つか紹介する。
クラウドネイティブの盛り上がりは、直接的にはクラウドコンピューティングの盛り上がりに起因している。クラウドには「拡張性と伸縮性」「使用量に応じた課金」「サービスベース」「インターネットテクノロジーによるユビキタス」そして「共有性」といった特徴があり、これを生かして作られたものがクラウドネイティブと呼ばれる。
この言葉は形容動詞として使われることもある。例えば、クラウドネイティブの(な)考え方、クラウドネイティブアーキテクチャ、クラウドネイティブインフラ、クラウドネイティブアプリケーション、クラウドネイティブオペレーションといった用法だ。
クラウドネイティブとは、単なるテクノロジーのことではない。クラウドの成果とメリットを最大限に引き出すには、真のクラウドサービスの能力に沿ったセルフサービスやダイナミック、アダプティブ、弾力性のある運用プロセスが求められる。
クラウドネイティブにまつわる混乱は、この用語が複数の解釈で広く使われるようになったことに原因だ。この用語の最も一般的な解釈は、クラウドサービスプロバイダー(CSP)が提供する基盤となるクラウドプラットフォームのネイティブ機能を使用する“CSPネイティブ”と、コンテナに関連する特定のテクノロジーを使用する“コンテナネイティブ”の2つであると説明するのが適切だろう。
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