問題なく稼働するプログラムに触れてはいけない。変えようとしてはならない。メインフレームシステム運用のセオリーは万国共通だったようだ。しかし、銀行のコア機能もいよいよクラウドを意識せざるを得ない時期が来たようだ。米国の銀行業界のトレンドを調査から追う。
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モバイルバンキングへの移行はクラウドによって実現したが、レガシーシステムからコアアプリケーションへの移行は重い負担になるかもしれない。
銀行のCIO(最高情報責任者)は長い間、あたかも「ヒポクラテスの誓い」のように(編集注)ある「信条」を守ってきた。
害を与えてはならない。触れてはいけない。稼働しているのだから(Do no harm. Don’t touch that thing. It’s working)
コンサルティング会社Accentureのシニアマネージングディレクター兼グローバルバンキングリードのマイケル・アボット氏はこう述べた。
Accentureの最近の調査(注1)によれば、メインフレームコンピュータは最近までこの信条の恩恵を受けていたが、その状況は変わりつつあるようだ。調査報告によれば、銀行業界においてメインフレームからクラウドへの移行に関する支配的な考え方が大きく変化したことが明らかになった。
Accentureが調査対象とした銀行のIT部門幹部150人のうち、5人中4人がメインフレームのワークロードをクラウドに移行する計画をしていた。調査対象者の多くは今後2〜5年の間にこの移行の実施を目指している。
2年前にAccentureが実施した同様の調査では、銀行のコア機能を担うシステムについて、メインフレームからパブリッククラウドへの移行を確約している銀行は、わずか20〜30%にすぎなかった。
「彼らは依然としてハイブリッド構成を考えていた」とアボット氏は言う。「ハイブリッドというのはつまり、オンプレミスのためのコードを開発することに他ならない」
Accentureの調査によると、銀行業界のITシステムはハイブリッドモデルからの脱却が大幅に進んでおり、メインフレームとクラウド間のワークロードの分割を希望する回答者は31%にすぎないことが判明した。
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