財務視点でクラウドを運用する技術 ITリーダーが知るべきFinOpsの潮流とは?FinOpsの基本と実践(1)(1/2 ページ)

「クラウドのコストの増加をどうにか抑えられないだろうか」――そんな悩みを持つ企業も多いかもしれません。コスト増加という課題に対し、世界の企業はどのように取り組んでいるのでしょうか。「FinOps」がコスト最適化への重要なカギとなる理由を解説します。

» 2022年07月04日 08時00分 公開
[小原 誠ネットアップ]

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 昨今あらゆる組織のIT施策においてクラウド活用は当たり前になっています。オンプレミスとクラウドの技術的な違いや運用特性の違いへの理解が深まったことで、それぞれの適性に合わせて「運用視点の最適化」を目指す企業が増えています。一方で財務の視点から考える「コストの最適化」については、手探り状態の組織も多いのではないでしょうか。

この連載について

 本連載は欧米を中心に広がる「FinOps」というクラウドコストを最適化するための考え方や、実践方法を解説していきます。守りのクラウド採用ではなく、攻めのクラウド採用を考えるとき、企業にとってコストの適正化は避けられない問題です。世界のリーダー達が取り組むFinOpsとは企業をどのようにサポートするのかを解説していきます。

筆者紹介:小原 誠(ネットアップ シニアソリューションアーキテクト)

国内メーカーにおけるストレージ要素技術の研究開発に始まり、外資系コンサルティングファームにおけるITインフラ戦略立案からトランスフォーメーション(要件定義、設計構築、運用改善、PMO等)まで、計20年以上従事。ネットアップにおいてはソリューションアーキテクトとして、特にCloudOps、FinOps領域を中心に、ソリューション開発やマーケティング活動、導入支援等に従事。FinOps 認定プラクティショナー(FOCP)。



国内企業でも進むクラウド活用

 昨今、国内企業においても業界、業種を問わずクラウド活用が一般的になっています。ここで改めて、国内企業がクラウドを活用する理由について、総務省が公開している調査結果をみてみましょう。

図1 国内企業がクラウドサービスを活用する理由の推移 (出典:総務省「通信利用動向調査 2016-2021」を基にネットアップが作成した資料)

 企業におけるクラウドサービス活用の理由は、2016年ごろは「コスト削減」が多かったものの、2017年以降「導入の早さ」(スピード)、「敏しょう性」(アジリティ)、「拡張性」(スケーラビリティ)などが重要視されています。

 昨今の企業は、コスト削減といった「守りの経営」だけでなく、変化の激しい事業環境の中で「攻めの経営」をするためにクラウドを活用する流れにあると言えます。

調査資料で読む「クラウドを使うとコストがかさむ」問題の本質

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