誰が15歳の日本人の科学力をそいでいるのか 「2050年に必要な人材」と技術者の復権編集部コラム

2050年に求められる人材像と現状を分析する資料から、いままで15歳の日本人が持つ科学力をそいできたものが何かを考えました。

» 2022年07月08日 15時00分 公開
[荒 民雄ITmedia]

 経済産業省が2022年5月に発表した「未来人材ビジョン」が話題になっています。多くの方が、この資料の前半にある「日本の未来の暗いシナリオ」に驚き、日本の将来を危惧しています。確かに前提となる日本の未来は、競争力が低下し、「海外の優秀な人材から選ばれない国」になることが示されています。

 しかし、議論の本質はそこではなく「だからこそ次世代を担う人的資本をどう育てるか」にあるようです。経済産業省のニュースリリースは常に「!」が付いたメッセージ性の強いタイトルが特徴なのですが、本件は「2030年、2050年の未来を見据え、『旧来の日本型雇用システムからの転換』と『好きなことに夢中になれる教育への転換』を!」と示されていました。これがこの資料のメッセージの本質なのでしょう。

 「未来人材ビジョン」は2021年12月から5回にわたる「未来人材会議」の中間取りまとめとして発表されたものです。議論は経済界を代表する大企業トップに加え、文部科学省や厚生労働省の担当者もオブザーバーとして参加しています。

 余談になりますが、中間とりまとめの資料は「官僚パワーポイント」ともいわれる官公庁特有の「1枚に全ての情報を詰め込むビジーなもの」ではなく、1枚1枚が簡潔な、しかし100ページ超のスライドです。官公庁のロゴ記載も表紙のみと、画期的です。

※本稿は2022年7月5日配信のメールマガジンに掲載したコラムの転載です。購読はこちら


2050年に必要な人材と「企業は人に投資せず、個人も学ばない」現状

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