起業者「1万人創出」を掲げる官民連携プラットフォームが発足 なぜ1社の「ユニコーン」より「起業層拡大」を狙うのか(1/3 ページ)

起業希望者を支援する官民連携のプラットフォーム「NOROSIスタートアップハブ」が発足した。同取り組みが有望な起業希望者への集中投資による「ユニコーン」輩出ではなく、起業を目指す層の拡大をかかげるのはなぜか。

» 2022年07月13日 15時30分 公開
[田中広美ITmedia]

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 クラウドファンディングや支援プログラムなど、起業希望者を支援する枠組みはたくさんあるが、起業希望者のうち実際に起業までこぎつけるのはその一部にすぎない(注1)。社会経済に活気をもたらす起業者を増やすためにどのような取り組みが必要なのか。

 2022年6月、起業希望者を支援する官民連携のプラットフォーム「NOROSI(のろし)スタートアップハブ」が発足した。同取り組みは、起業のハードルを下げ、起業に挑戦する層の拡大を目指す。有望な起業希望者を選別して集中投資する従来型の支援ではなく、起業者の層を広げる方法を選ぶ同取り組みの狙いと、独自トークンを利用した独自の起業家支援システムに迫る。

「優れた1社ではなく、1万人の起業希望者を応援する」理由は?

 日本のスタートアップの数が世界と比べて少ないことは以前から指摘されてきた。NOROSIスタートアップハブの山岡健人氏(全体統括責任者)は、2022年6月10日に開催された「NOROSIキックオフミーティング」で、自身も起業してアドリブワークスを創立した経験を踏まえて日本の事情を次のように語った。「金融機関によるファンドなどが融資するのは起業希望者のうちの上位0.7%にすぎない。ほとんどの起業希望者はアイデアがあっても支援を受けられず、(起業に向けた準備を)何から始めればいいか分からない状態にある」(山岡氏)。

 NOROSIスタートアップハブは起業のハードルを下げ、居住地にとらわれず、トライ&エラーの文化を育てるスタートアップエコシステムの裾野の拡大を目的に掲げる。

NOROSIスタートアップハブの概念図(出典:アドリブワークス提供資料) NOROSIスタートアップハブの概念図(出典:アドリブワークスの提供資料)
図表 NOROSI スタートアップの概要説明図(出典:アドリブワークス提供資料) 図表 NOROSI スタートアップの概要説明図(出典:アドリブワークス提供資料)

 同取り組みの特徴は「自治体と企業との連携によるアイデアの掘り起こしから共に起業を進める『仲間集め』、少額の資金調達までの一貫支援」だが、中でも出色なのが大勢の起業希望者から一握りの有望な候補者を選ぶことの多い従来型支援とは異なる支援を提供する点だ。

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