ITモダナイゼーションで後れを取る日本 PwCが企業に必要な5つのポイントを解説(1/2 ページ)

日本のデジタル競争力は世界でも弱くなっている。一体何が原因なのか。何をしなければならないのか。日本企業に必要な5つの提言を紹介する。

» 2022年11月15日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。

 PwCコンサルティング(以下、PwC)は2022年11月9日、「2022年DX意識調査-ITモダナイゼーション編-日本企業の『俊敏性』に出遅れ感。巻き返しに向けた5つの提言」(調査期間:2022年8月)を発表した。本調査は日本におけるITモダナイゼーションの現状を把握することを目的に、売り上げ500億円以上のITモダナイゼーションに関与している企業/組織の課長レベル以上を対象に、524人が回答した。

図1 回答者の内訳一覧(出典:PwC提供)

調査から判明 ITモダナイゼーション先進企業の8割がしていること

PwCの中山裕之氏

 「スイスの国際経営開発研究所(IMD)が2022年9月に発表したグローバル調査『IMD国際デジタル競争力ランキング2022』によれば、日本は総合評価で63カ国中29位と過去最低で、アジア圏内でも8位だった」――。こう話したのはPwCの中山裕之氏(上席執行役員パートナー クラウドトランスフォーメーション リーダー)だ。同氏はこの総合ランキングの中でも、「ビジネスの俊敏性」という項目に注目し、「ビジネスの俊敏性に関しては2021年よりも9ポイントダウンで62位となり、これは下から2番目だ。本当に日本のITはビジネスの俊敏性に貢献しているのだろうか」と述べた。

 一方でPwCが今回実施した調査は、ITモダナイゼーションの成熟度から日本企業の「ビジネスの俊敏性」を明らかにするものだ。同調査はITモダナイゼーションの成熟度を図2のように定義し、活用度合いに応じて3つに分類した。

図2 ITモダナイゼーション成熟度結果(出典:PwC提供資料)

 中山氏によれば、図2の「アジャイル開発手法の状況」 「パブリッククラウドの活用状況」「クラウドネイティブ技術の活用状況」に関する質問を基に、3つ全てを全面的に採用している場合は「先進」、これらを部分的に利用している場合は「準先進」、それ以外が「その他」となっている。今回の調査では524人の回答者のうち、7%が先進、29%が準先進、その他が64%となった。

 また中山氏は、「売り上げ規模が大きくなれば先進の比率も上がるが、準先進まで含めると大きな差があるわけではない」と指摘する。その理由として「事業規模が大きくなれば資金に余裕が出やすくなり先進になりやすいが、先進と準先進にそこまで差がないことを考えると『企業の姿勢』が大きく関係しているのだろう」と続けた。

図3 先進と準先進には大きな差がないようだ(出典:PwC提供資料)

 先進における特徴的な回答は以下の図4だ。

図4 先進における特徴的な回答(出典:PwC提供資料)

 同調査によれば、日本におけるITモダナイゼーションに大きな成長や成熟はみられない。先進の比率は2021年から変わらず7%で、準先進の比率も2021年度の25%から2022年には29%と微増だ。

図5 日本のITモダナイゼーションに大きな変化は無し(出典:PwC提供資料)
       1|2 次のページへ

Copyright © ITmedia, Inc. All Rights Reserved.

注目のテーマ