AWSのCEOが発表した13の新たなサービス これさえ読めば全て分かるAWS re:Invent 2022(1/2 ページ)

AWS re:Inventの2日目には同社のCEO(最高経営責任者)であるアダム・セリプスキー氏が登場し、13の新たなサービスを発表した。本稿は全てを解説する。

» 2022年11月30日 12時46分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 Amazon Web Services(以下、AWS)は2022年11月28日〜2022年12月2日(現地時間)にかけて、年次イベント「AWS re:Invent 2022」を米ラスベガスで開催している。2日目となる11月29日の基調講演には同社のCEO(最高経営責任者)を務めるアダム・セリプスキー氏が登壇し、新たな13のサービスを紹介した。

クラウドの重要性と13の新たなサービス

AWSのCEOを務めるアダム・セリプスキー氏

 セリプスキー氏は基調講演の冒頭で「『クラウドが組織のイノベーションを実現する』という認識が広がっている。また、クラウドへの期待が高まると同時に、クラウドにかかるコスト削減の重要性も増している」とクラウド業界における現状を語った。

 同氏によれば、これらの期待と課題に応えるためには、「適切なツール」「インテグレーション」「ガバナンス」「インサイト』の4つが欠かせない。

図1 セリプスキー氏が提唱した4つの要素(筆者撮影)

 これらを満たすために、同氏は新たな13のサービスを発表した。

1「Amazon OpenSearch Serverless」

 Amazon OpenSearch Serverlessは、これまでの「Amazon OpenSearch Service」のサーバレス版で、大規模な検索や分析ワークロードなどを容易に実行できる。セリプスキー氏は「サーバレスにしたことで、ユーザーは基盤の選定や維持の工数、システムの最適化などを気にせず、自分たちのビジネスにフォーカスできる」と評価した。

 同サービスは基盤となるリソースを自動的に構成・スケーリングし、高速なデータ取り込みとクエリ処理を実現する。ユーザーはクエリの頻度や複雑さ、データ量などを事前に予測する必要がなく、データの分析に注力できる。

2「『Amazon Aurora』と「Amazon Redshift」がより密接に

 リレーショナルデータベースサービス「Amazon Aurora」(以下、Aurora)に蓄積された大規模なトランザクションデータの分析を、データウェアハウスサービス「Amazon Redshift」(以下、Redshift)を利用してニアリアルタイムで実現できるようになった。これまでは工数がかかっていたAuroraからRedshiftへのデータ移行がなくなる。セリプスキー氏は「ユーザーの利便性が大きく向上する」と期待を寄せた。Auroraに保存されるデータは数秒後にRedshiftに共有され、すぐにデータ分析のフェーズへと移行できる。

図3 Amazon Auroraの変化(筆者撮影)

3「『Amazon Redshift』の『Apache Spark』と統合」

 Redshiftのデータを直接、データ運席を行うオープンフレームワークである「Apache Spark」から操作できるようになる。JavaやPython、R、Scalaなどのプログラミング言語を使用して、Apache SparkベースのアプリケーションからRedshiftのデータに対するクエリを数秒で実行可能だ。これにより、ユーザーは「データの移動」「アプリケーションコードの作成」「データ保管領域の管理」から解放される。

図4 Amazon Redshiftの変化(筆者撮影)

4「Amazon DataZone」

 「Amazon DataZone」は、さまざまなデータソースのデータをカタログ化し、ディスカバリーや共有、管理できるサービスだ。AWSのアナリティクスサービスと統合されており、データは自動的にユーザーサービスとして利用できる。今後、「DataBricks」や「Snowflake」「Tableau」などのソリューションと連携を可能にするAPIを提供する予定だ。

図5 Amazon DataZone(筆者撮影)

5「『Amazon QuickSight』が3つのアップデート」

 「Amazon QuickSight」(以下、QuickSight)はAWSが提供するBIサービスで、手軽にデータにアクセスして分析でき、その結果からインサイトを得られる。今回はこれに3つのアップデートが発表された。

 1つ目が「Amazon QuickSight Operational Paginated Reports」だ。これによって、ユーザーはビジネスチームによるレビューに活用できる運用メトリクスの週次データを取得できる。また、フォーマットが整ったレポートをQuickSightで生成できる。

 2つ目が「ML-powered forecasting with Q」だ。これによって、過去のパターン情報に基づく将来予測に対応できるようになり、ユーザーは自然言語で将来予測を取得して未来の計画を立案できる。

 3つ目が「Why questions with Q」だ。過去のデータから事象に対する影響度合いを分析して主要な要因を自動的に特定する。ユーザーはデータを分析することなく、知りたい結論を手に入れられる。

図6 Amazon QuickSightがアップデート(筆者撮影)

6「Amazon Security Lake」

 「Amazon Security Lake」は、クラウドとオンプレミスのセキュリティデータを統合管理するためのサービスだ。組織内に存在するセキュリティデータを、クラウドとオンプレミスの双方から自動的に収集して一元化する。セリプスキー氏は「大量のログやイベントのデータの収集、管理分析を容易にし、ユーザーは脅威検知や調査、インシデント対応を迅速に行える」と話す。

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