PoWかPoSか。中央集権か非中央集権か。 BlockdaemonのCEOに聞く(1/2 ページ)

ブロックチェーンの利用は拡大している。一方で、この技術を使ったWeb3という業界では、「PoWかPoSか」や「非中央集権的になれるのか」などの議論がある。これらをBlockdaemonでCEO(最高経営責任者)を務めるコンスタンティン・リヒター氏に聞いた。

» 2022年12月01日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 ブロックチェーンの考え方は一般的に、「サトシ・ナカモト」(人物かグループかは不明)が2008年に、暗号資産「Bitcoin」の公開取引台帳として考案したことで知られる。ブロックチェーンによるサービスは拡大し、現在では「Web3」と呼ばれるようになったものもある。

 ブロックチェーンの活用が世界で広がる中で、これまで起きた変化と、今後に起こる変化にはどのようなものがあるのか。ブロックチェーンの活用における日本の立ち位置。PoW(Proof of Work)とPoS(Proof of Stake)はどちらがいいのか。中央集権か非中央集権、社会はどちらに変化していくのか。これらの疑問を、ブロックチェーンインフラストラクチャを提供するBlockdaemonでCEO(最高経営責任者)を務めるコンスタンティン・リヒター氏に聞いた。

これまでの変化と今後の変化

コンスタンティン・リヒター氏

 Blockdaemonは2017年の創業以来、機関投資家向けのブロックチェーンインフラストラクチャを提供しており、Bitcoinをはじめとする50以上のブロックチェーンをサポートしている。

 リヒター氏は同社を設立した理由として、「2017年はBitcoinの価格が大きく変動した年の一つだ。当時、暗号資産を代表とするブロックチェーンのインフラは今ほど整っておらず、その必要性を感じた」と話す。

 ブロックチェーンの利用が拡大する中で、2017年から2022年でどのような変化があったのだろうか。リヒター氏は「2017年から現在にかけて、最も大きな違いは『企業の姿勢』だ」と話す。2017年や2018年は限られた人のみがブロックチェーンを認知していたが、現在はブロックチェーン以外の業界に属する企業が、セキュリティ強化を目的にブロックチェーンを利用している。

 「企業はブロックチェーンで自社を守ることを考えている。そこで求められているのは信頼できるブロックチェーンインフラだ」(リヒター氏)

 同氏は、2つ目の違いに「競合の増加」を挙げる。2017年当時は、限られた人や企業がブロックチェーンを扱っていたこともあり、それぞれがブロックチェーンの開発などに取り組んでいた。一方で現在は、金融機関などをはじめとする企業がブロックチェーンインフラを提供する企業に投資して、そのサービスを利用している。このような現状に対してリヒター氏は、「大きなシフトだ」と見解を述べる。

今後起こる2つの変化

 これまで、ブロックチェーンを取り巻く環境や企業の姿勢は大きく変わってきた。今後はどうだろうか。リヒター氏は今後に起こる変化として2つを挙げた。

 1つ目が「ブロックチェーンで提供されるサービスの制度化が進み、その中でスマートコントラクトの利用が社会的に浸透していく」というものだ。スマートコントラクトとは、特定の条件が満たされた場合に自動的に契約が実行される技術だ。

 「民主主義を名乗る多くの国が課題を持っている。透明性が存在せず、結果として多くに人々が国への信頼を失っている。このような状況で、ブロックチェーンを利用したサービスへの信頼は上がるだろう。スマートコントラクトを利用すれば、契約の過程で透明性が確保され、人々により公平なサービスを提供できる」(リヒター氏)

 2つ目が、「容易な送金の実現」だ。リヒター氏は「企業のビジネスがグローバル化していく中で、いかに手続きの摩擦を減らし、ビジネススピードを加速させられるかが重要になっている。特に若い世代は、これまでの送金システムなどを極力使わないようにしている。ブロックチェーンを活用していけばこれらの課題を解決できる」と語る。

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