「さっさと効率化しろ、サービスを止めるな」の重圧にCIOとCTOは限界寸前CIO Dive

企業のIT部門は投資拡大のトレンドを背景に勢いづいているかと思いきや、理解を得られない中で燃え尽きかかっている――。衝撃的な調査結果が公表された。

» 2022年12月12日 08時00分 公開
[Roberto TorresCIO Dive]

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 企業のIT投資は回復基調にあると予測されているが、足元の景気動向を警戒したコスト削減と生産性向上の圧力は高まるばかりだ。米国においてもIT部門のリーダーは協力者がない中で疲弊し切っている状況が調査で明らかになった。

 ソフトウェア開発会社のJetRocketsが2022年10月末に発表したレポートによると、CIO(最高情報責任者)とCTO(最高技術責任者)の約10人中4人が、組織を支えるシステムを維持するために燃え尽き症候群に陥ったり、悩みを抱えていたりすることが明らかになった(注1)。

 調査会社のMomentiveがJetRocketsの委託を受けて450人のCIOとCTOを対象に行った調査によると、4分の1弱の経営者が「燃え尽きた」と答え、さらに17%が「リソースとサポートの不足に悩んでいる」と答えています。

450人のCIOとCTOを対象に行った調査では、25%弱の経営幹部が燃え尽き症候群になっていると答え、さらに17%がリソースとサポートの不足に不安を感じているという。

調査結果を伝えるJetRocketsのWebページ(出典:JetRockets「2023 IT & Development Outlook Report」)

ITリーダーを襲う「さっさと効率化しろ、サービスを止めるな」の重圧

 多くの企業は高い技術を持つ人材が足りない事態に直面しており、ストレスを抱えている状況だ。実際に、上級管理職の10人中9人近くがソフトウェア開発者不足の影響を受けていると回答した。2020年以降に急ピッチで事業を展開した技術系リーダーは、こうした現状に疲弊している。さらに経済情勢が悪化するにつれ、「より少ない労力でより多くのことを行う」という考え方が復活し、技術部門にさらなるストレスがのしかかっているのだ。

 リサーチ会社Forresterのシニアアナリストであるジュリー・モール氏は次のように話す。

 「今日のCIOとCTOのプレッシャーの主な原因は、商品やサービスを24時間提供し続けなければならないことにあります。それにもかかわらず、コスト削減のために技術部門の人材をレイオフ(一時解雇)せざるをえないケースもあり、リソースは減少しているのが実情です」

 一方で、IT部門は不況の影響をほとんど受けないという説もある。2023年のIT予算の見通しでは、技術投資に対するリターンが期待できるため、IT部門は回復基調にあるようだ(注2)。

人以外のリソース圧縮は既に始まっている

 JetRockets共同設立者兼CEOのナタリー・カミンスキー氏は、電子メールで「経営陣はイノベーションとアウトプットの拡大の必要性に迫られており、技術部門のリーダーは一層ストレスを感じています。ところが、予算の制約や世界的な人材不足により、職場で彼らを助けてくれる人が少なくなっているのです」と述べている。

 CIOやCTOには、より少ないリソースでより多くのことをこなさなければならないことによる、多大な負担がかかっている。IT部門におけるこうした負担を減らすために、経営陣は取引ITベンダーを集約するなどの、人員削減を伴わないコスト削減策に注目している。

 Workatoの調査によると、ITチームの57%がSaaSへの支出削減を強いられていると回答した。モール氏が「簡素化してコストを削減できるツールはいくつもあります」と話しているように、すでにこのようなコスト削減の動きは始まっているのだ。

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