求職者が仕事を選ぶ上で「テレワークが可能かどうか」が大きな判断材料になっている。優秀なエンジニアを獲得したいのならば、「テレワーク可能」とすべきだろう。
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ソフトウェア会社のRemoteが求人サイト「Glassdoor」の600万件以上の求人情報を分析した結果、Web開発者はテレワーク可能な仕事を発見できる可能性が最も高いことが分かった(注1)。2022年8月のデータを分析した同報告書によると、米国ではWeb開発者を募集する求人情報のうち、約5件に2件が「テレワーク可」としていることが判明した。
テレワークを可とする求人件数が多い職種として、ソフトウェアエンジニアが36%で第2位、データサイエンティストは31%で第3位という結果になった。その他の職種でみると、サイバーセキュリティとデータ分析もトップ10に入っている。
報告書によると、企業はテレワーカーに対して、従来の労働者よりも高い給与を提示している。リモートで働くWeb開発者の平均給与は9万5000ドルで、業界平均の7万2492ドルより31%高い。
上記の給与格差を見ると、いかに優秀な技術者が給与の交渉をしやすいかが分かる。特に、Web開発者やソフトウェア開発者、データサイエンティストなどの職種は、テレワークができる仕事の中でも最も高い給与を得ている。
雇用主が必要な人材の確保と維持に苦労している影響もあり、2022年は全体的にIT技術者の給与が上昇した(注2)。雇用主は報酬の引き上げに加え、テレワークやハイブリッドワークを可能にする柔軟な雇用形態など、仕事の満足度を高める他の要因についても積極的に考慮するようになった。
技術系人材紹介のプラットフォームを展開するDiceが2022年11月に発表したレポートによると、テレワークを希望する技術系人材の数は2021年の53%から60%に増加した(注3)。
同社は950人の技術者と350人の人事担当者を対象とした調査も実施したところ、回答者の10人中9人が「リモートで働ける選択肢があることが重要な仕事の検討材料になる」と回答した。
AmazonやMeta、Microsoftといった大手テック企業のレイオフに注目が集まる中、2022年最後の数カ月も技術者への需要は高いままだった。
だが企業の技術部門におけるレイオフが増えたからといって、技術者自体のレイオフが増えたわけではない(注4)。CompTIAが米国労働統計局のデータを分析したところ、2022年12月には13万人の技術者が新たに職に就き(注5)、技術系企業は1万7600人の従業員を増やした(注6)。
需要が低迷しない限り、給与は高止まりする可能性が高い。CodinGameとCoderPadが131カ国1万4000人の技術者を調査したレポートによると(注7)、2022年はソフトウェア開発者の3分の2が昇給したという。転職した開発者の25%以上が昇給したという報告もある。
最も人気のあるWeb開発やデータサイエンス、サイバーセキュリティのスキルであっても、雇用主が提示できる金額には限りがある。だが、こうした制限がありつつも、仕事の柔軟性やその他の魅力的な条件を提示することが一般的になりつつある。
CompTIAの業界リサーチ担当バイスプレジデントであるセス・ロビンソン氏は「雇用主はワークライフバランスやキャリアパス、研修機会、テレワークなど従業員の人生に関して新たな側面を考えなければならない」と述べる。
(注1)Industries with the most remote opportunities in 2022 and beyond(remote)
(注2)Want to retain your tech talent? Pay up(CIO Dive)
(注3)The tech workforce isn’t budging on remote work(CIO Dive)
(注4)Demand for IT talent takes the sting out of tech sector layoffs(CIO Dive)
(注5)Tech unemployment remains low, but hints of a slowdown emerge(CIO Dive)
(注6)Tech employment holds steady heading into 2023, CompTIA analysis reveals(CompTIA)
(注7)Developers report pay raises, confidence despite layoffs(CIO Dive)
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