日立とパナソニック コネクトは、生体認証のグローバル展開に向けた協業を開始する。両社の認証技術を組み合わせた新サービスの創出を目指す。
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日立製作所(以下、日立)とパナソニック コネクトは2023年2月27日、生体認証のグローバル展開に向けた協業を開始すると発表した。生体情報を暗号化する日立の特許技術を活用した公開型生体認証基盤「PBI」(Public Biometric Infrastructure)とパナソニック コネクトの顔認証技術を融合した新サービスの創出に向けた取り組みを推進する。
生体認証市場において、非接触やハンズフリーでスムーズな運用が可能となる顔認証は、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大の影響もあり、さまざまな産業分野で需要の急拡大が予測されている。だが、生体情報の管理がボトルネックとなり、その導入や活用、普及には、高い信頼性の確保が必要不可欠という課題がある。
日立はこれまで、生体情報を復元不可能な形に暗号化する独自技術PBIを核にした「生体認証統合基盤サービス」を提供してきた。これは飲食店での決済やゴルフ場の受付・ポイント連携、ワクチン接種証明の本人確認、デジタル地域商品券の利用・決済などで幅広いシーンで利用されている。
パナソニック コネクトは、顔認証技術において2つの顔画像が同一人物かどうかを判定する「1:1認証方式」で高い評価を得ている。同サービスは、空港での厳格かつ円滑な本人確認やイベントでのチケットレス入退場、店舗でのキャッシュレス決済、施設・オフィスでのカードレス入退室などで利用されている。
両社は今回の協業によって、長年培った強みをかけあわせ、急成長の生体認証市場をグローバルにリードする新サービスの創出に取り組む。協業の具体的な内容は以下の通りだ。
PBIはICカードや暗証番号、二次元バーコードなどに比べ、紛失や不正授受など第三者による不正利用を低減できる安全な認証・暗号化技術だ。また、パナソニック コネクトの顔認証は顔画像の登録を容易かつハンズフリーで実現できる。両社はこれらを融合し、より安心、安全かつ快適な顔認証を実現するための技術検討と検証を実施し、システムを開発する。
具体的にはパナソニック コネクトの顔認証によって得られた顔の特徴を抽出し、PBIを基に顔情報を復元できない形に変換、保管、照合するという一連の流れを開発及び実装する。
両社は、買い物やエンタメ、医療といった暮らしやビジネスを想定したさまざまな分野でのユースケースの開発と実証に取り組むことで、利用者のさらなる快適性を追求してサービスの改善と強化を図る。
今春からは、利用シーンとして旅行を想定し、全国規模で展開する小売店舗における来店時のスマートなポイント付与を実現する「手ぶらスタンプラリー」の実証を実施する予定だ。
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