UPSは全米各地の拠点で「スマートパッケージ」を本格的に運用する。スマートパッケージはテクノロジーを活用して1日2000万回発生していた手作業をなくしつつ、誤配送を減らす取り組みだ。その詳細は。
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2022年に一部の施設で「スマートパッケージ」を初めて成功させた物流大手UPSのCEOであるキャロル・トメ氏は、2023年中に米国の残りのネットワーク全体で展開する計画だと(注1)、2023年2月第1週の決算説明会で述べた(注2)。
この計画では荷物にRFIDタグを付け、従業員にウェアラブル端末を装着させることで手作業によるスキャンをなくし、誤配送を減らすことで配送業者の倉庫における荷物処理能力の向上を目指す。
現在、100カ所のUPS施設がこの計画に参加している。トメ氏は米国内に残る940の施設でこの技術を導入するために、2023年に1億4000万ドルの投資する予定だと意気込んだ。
スマートパッケージの拡大は、冷え込む需要環境下でコスト削減を目指すUPSのネットワーク効率の強化につながる(注3)。同社の他の事例としては、コスト削減に向けて配達密度を高める試験的取り組みや(注4)、トラックドライバーのアイドルタイム短縮計画などがある(注5)。
スマートパッケージは、荷物を積載する配送車両の誤配を減らすことで、顧客体験を向上させる目的もある。UPSはこの取り組みを通じて、誤配送を400件に1件から800件に1件の割合に減らすことを目指し、それ以上の改善の可能性もあると、CFO(最高財務責任者)のブライアン・ニューマン氏は話す。
一部の施設では、すでにニューマン氏が述べた以上の誤配率の減少が確認されている。トメ氏は、この取り組みを実施している50の施設で、誤配送が1000分の1になっているとし、この結果は「シックスシグマの完成形」だと付け加えた。
トメ氏は以前、RFIDタグとウェアラブル端末を使用することで、UPSの配送車両に荷物を積み込む従業員が毎日実施する2000万回の手動スキャンが不要になると述べている(注6)。UPSは、技術の向上と低価格化に伴い、倉庫業務でRFIDタグを活用している企業の1社だ(注7)。
UPSは最終的にウェアラブル端末から脱却し、代わりに配送車両がRFIDタグと直接通信できるよう計画を進めている。トメ氏は「2023年1月に実験室でこれらの機能の片りんを見た」と話す。
「スマートカーに荷物を積み込み、車が実際に荷物をチェックインするところを確認した。これは人間にはできないことだ。今後のさらなる進展が期待できるだろう」(トメ氏)
(注1)UPS to deploy RFIDs through 100 facilities this year(Supply Chain Dive)
(注2)United Parcel Service Inc Ups Q4 2022 Earnings Call Transcript(Seeking Alpha)
(注3)‘We can work this out’: UPS CEO optimistic on Teamsters negotiations(Supply Chain Dive)(注4)UPS pilot program aims to deliver more packages in fewer stops(Supply Chain Dive)
(注5)UPS launches plan to reduce late deliveries, keep trucks moving(Supply Chain Dive)
(注6)Port congestion is slowing flow of packages into UPS’ network(Supply Chain Dive)
(注7)RFID and sensor tech get cheaper, faster and more pervasive(Supply Chain Dive)
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