世界と日本ではどう違う? マルチクラウド活用の実態が明らかに

マルチクラウドに対する世界の考え方が調査で明らかになった。世界と日本ではどのような違いがあるのだろうか。

» 2023年03月24日 07時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 日本オラクルは2023年3月23日、「主流となるマルチクラウド活用」の調査結果を発表した。同調査はS&P Global Market Intelligence傘下の451 Researchが北米で1000人以上、日本を含むその他の地域で500人以上の従業員を有する企業を対象に組織内でのクラウドの利用方法を聞いた。

世界と日本ではどう違う? マルチクラウド活用の実態が明らかに

 同調査によると、調査対象企業の98%が「少なくとも2つのクラウドインフラストラクチャプロバイダー(IaaSとPaaS)を利用している、または利用する予定」と回答しており、31%が「4つ以上のクラウドインフラストラクチャを利用または利用予定」とした。日本でも98%が「2つ以上」、35%以上が「4つ以上を利用または利用予定」と回答した。

 また、全体の96%が「少なくとも2つのクラウドアプリケーションプロバイダー(SaaS)を利用している、または利用する予定」としており、45%が「5つ以上のプロバイダーのクラウドアプリケーションを利用または利用予定」と回答した。日本企業で「2つ以上」と回答したのは約92%と全体より低くなったが、「5つ以上を利用または利用予定」という回答は約60%とグローバルを大きく上回った。

図1 マルチクラウドの採用が進む(出典:日本オラクル提供資料)

マルチクラウドの需要はどこに?

 全体におけるマルチクラウド戦略の推進要因の上位2つは「データ主権/データの局所性」(41%)と「コストの最適化」(40%)だ。日本企業においてもグローバルと同様に、「コストの最適化」(44%)、「データ主権/データの局所性」(33%)が上位2つの要因になっており、次いで「ビジネスの俊敏性とイノベーション」(28%)、「ベスト・オブ・ブリードのクラウドサービスとアプリケーション」(28%)、「規制対応」(28%)などが挙がった。

 企業がマルチクラウドを推進する最も重要な要因は国によって異なり、「コスト最適化」の割合が高かったのが日本(44%)や英国(44%)、サウジアラビア(48%)だ。「データ主権/データの局所性」の割合が高かったのは米国(42%)やドイツ(52%)となり、シンガポールでは「コスト最適化」「データ主権/データの局所性」が同率48%で最も高い推進要因となった。

図2 マルチクラウド戦略の需要を高めている要因(出典:日本オラクル提供資料)

企業はよりマルチクラウドに積極的に

 調査全体で現在最も期待しているマルチクラウドのユースケースは「複数のパブリッククラウドでのコスト最適化」(23%)が最も高く、次いで「ワークロードやデータのモビリティ」(19%)が挙がった。将来的な期待においては「データの冗長化・バックアップ」(54%)、「ワークロードやデータのモビリティ」(49%)が期待されるユースケースになっており、その他上位には「複数のパブリッククラウドでのコスト最適化」(42%)、「IT環境全体のリスク軽減」(40%)「地理的拡大やグローバルなサービス提供」(38%)などが挙がった。

 日本企業が現在最も期待しているマルチクラウドのユースケースには「開発者の選択支持」(23%)が最も高く、次いで「複数のパブリッククラウドでのコスト最適化」(21%)が挙がった。その他、将来的に期待されるユースケースは「データの冗長化・バックアップ」(61%)、「ワークロードやデータのモビリティ」(56%)、「地理的拡大やグローバルなサービス提供(46%)」などが上位になった。

図3 マルチクラウドのトップ6つのユースケース(出典:日本オラクル提供資料)

マルチクラウド実現に立ちふさがる課題は

 マルチクラウド活用の障壁となる重要な課題に全体では「クラウドプロバイダー管理」(34%)、「ネットワークと相互接続性」(30%)が挙がり、日本企業では「クラウド間でのセキュリティの確保」(39%)が最も多い回答になった。

 これらの課題もあり、相互接続や管理プラットフォームへの高い利用意向が明らかになっている。日本を含むグローバルで課題に挙がる「ネットワークと相互接続性」に対応する施策として、日本の49%、グローバル全体の40%がクラウド相互接続の利用に関して「現在利用中」と回答しており、今後2年以内に利用予定の回答を含めると日本は85%、グローバル全体では83%になった。

 もう一つのマルチクラウドの課題である「クラウドプロバイダー管理」に対応する施策としてはクラウド管理プラットフォームの利用が考えられる。これについて日本の59%、全体の55.6%が「現在利用中」と回答しており、今後2年以内に利用予定の回答までを含めると日本は98%、全体で97%となる。

図4 本調査結果のポイント(出典:日本オラクル提供資料)

 日本オラクルの竹爪慎治氏(常務執行役員 クラウド事業統括)は今回の調査を受け、「日本を含むグローバルの企業のほとんどが『マルチクラウドを利用または利用予定』と回答しています。マルチクラウドは無視できない存在であり、短期間でマルチクラウド環境に変更する企業もあれば戦略的に最適なクラウドを選定したいと考える企業もあります。これらの企業が直面する障壁を取り払いコスト最適化などの目的を実現できるように、Oracleは『Oracle Interconnect for Microsoft Azure』『MySQL HeatWave on AWS』『Oracle Database Service for Microsoft Azure』などを提供しています。Oracleは分散クラウド戦略の中の重要な柱にマルチクラウドを位置付けており、今後もソリューションを拡張してユーザーの成功を支援していきます」とコメントしている。

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