AWSとHugging Faceが提携 より高速で安価なジェネレーティブAIの導入を実現するかCIO Dive

大規模言語モデル「BLOOM」を開発しているHugging FaceとAWSが提携した。これにより、ジェネレーティブAIの導入を早期に低価格で実現できるという。

» 2023年03月29日 07時27分 公開
[Lindsey WilkinsonCIO Dive]

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 Amazon Web Services(以下、AWS)と機械学習(ML)アプリケーション作成ツールを開発するHugging Faceは2023年2月21日(現地時間)、企業のITチームがジェネレーティブAI(人工知能)アプリケーションの大規模言語モデルの導入と微調整を容易にするために提携すると発表した(注1)。

 Hugging Faceは研究者やデータサイエンティストに10万以上の機械学習モデルを提供しており、2022年7月には13のプログラミング言語と46の自然言語を含むデータで訓練された大規模言語モデル「BLOOM」をリリースしている(注2)。

ジェネレーティブAIが企業に与える影響は?

 両社の提携は、昨今さまざまなAIスタートアップと大手テック企業が同様の契約を結んでいることからAWSが模倣したものと考えられる。Hugging FaceはAWSを使って製品を構築し、AWSの顧客はビジネスニーズに合わせてAI技術などをカスタマイズして微調整できる。

 ジェネレーティブAIをビジネスで採用する際に、大きな障害となっているのが技術の構築やカスタマイズ、微調整のコストだ。これらの点においては、大手テック企業がスタートアップ企業よりも優位に立つ(注3)。

 AWSでCEO(最高経営責任者)を務めるアダム・セリプスキー氏は同社のブログで、「ジェネレーティブAIは産業全体を変革する可能性を秘めているが、コストや専門知識といった課題によって一部企業以外は手が出せない技術になっている」と述べている(注4)。

 両社は今回の提携で「コスト」と「人材」の2つをターゲットにする。Amazonの発表によれば、AWSでHugging Faceモデルを使用する企業はトレーニングコストを50%削減でき、4倍のスループットと最大10倍の低レイテンシを実現できる(注5)。

 AWSの顧客は「Amazon SageMaker JumpStart」「AWS Deep Learning Containers」「AWS Tranium」「AWS Inferentia」のチュートリアルを通じて、Hugging Faceモードを使用できる。

 ほとんどの組織は、ジェネレーティブAIモデルの採用を成功させるために必要かつ適切なガバナンスモデルやデータの収集に加え、品質維持や人材採用に苦労している。実際にInfo-Tech Research Groupのリサーチ・ディレクターであるブレイン・ジャクソン氏は「CIO Dive」に「クラウドベンダーなどの活用は予算が限られた企業が適切な機能を獲得するための回避策だ」と語っている。

 企業がAWS、「Google Cloud」「Microsoft Azure」、またはその他のクラウドプロバイダーでシステムを稼働させているかどうかにかかわらず、ジェネレーティブAIアプリケーションはAIスタートアップとのパートナーシップや買収を通じて、ベンダーから徐々に浸透していくと予想される。

 Oracleは2022年10月、半導体メーカーのNVIDIAと提携し、同社のコンピューティングスタックをOracleのクラウドインフラに導入した(注6)。Google Cloudは2023年2月、AIスタートアップのAnthropicに投資し、同社のAI機能を利用できるようにしている(注7)。Microsoft Azureは、OpenAIと数十億ドルのパートナーシップを数年にわたって結んでおり、OpenAIモデルを同社のエンタープライズおよびコンシューマー製品に展開する予定だ(注8)。

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