NECは、人権尊重を目指し経産省のガイドラインや国内外の法令に基づくAIガバナンスの全社規定の整備を発表した。アジャイルにガバナンスの枠組みを対応させ、柔軟な改善、更新を続ける体制を確立する。
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NECは2023年4月3日、経済産業省(経産省)が公開する「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」や国内外の法令、ガイドラインに基づき、コーポレートガバナンス体制とAI(人工知能)ガバナンスに関する全社規定を整備したと発表した。
新たなガバナンス体制は、アジャイルにガバナンスの枠組みを対応させ、外部要因の変化を分析して柔軟に改善、更新する。今後はAIガバナンス遂行責任者(CDO)の下で社内外の連携を通じてガバナンスの強化に取り組む。
NECは今回策定したガバナンス体制および全社規定の特徴として以下の2つの項目を取り上げた。
経産省は2021年7月に「AI原則実践のためのガバナンス・ガイドライン」を公開した。
このガイドラインはAI原則の実践の在り方に関する検討会およびAIガバナンス・ガイドラインのワーキンググループにおいて取りまとめられたものだ。AI原則の実践を支援することを目的とし、AI事業者が実施すべき行動目標の提示や行動目標に対する仮想的な実践例およびAIガバナンスゴールとの乖離を評価するための実践的な対応例などを示している。
今回NECが策定したガバナンス体制および全社規定は、同ガイドラインのアジャイル・ガバナンスの枠組みに対応したものと説明されている。従来の固定化されたガバナンスではなく、常に変化する外部要因を分析してゴール設定に反映し続けることで、将来にわたって柔軟に改善および更新を続ける仕組みになっている点がポイントとされている。
NECは新たに、AIガバナンス遂行責任者を定義し、取締役会やリスク・コンプライアンス委員会および外部有識者会議などとの関係を明確化した上で、コーポレートガバナンスとして位置付けた。今後は同責任者の下でAIガバナンスを推進し、社内外の各所と連携してガバナンスの強化に取り組むとしている。
また、これまでの取り組みに加えて今回新しく全社規定を制定したことで、プライバシーや基本的人権などを適切に保護するためのAIガバナンスの実施や運用などの浸透を加速するとしている。
このところAIを使った新しいサービスやイノベーションが立て続けに登場している。こうした活動に合わせてAI技術の利用に伴う課題や懸念も増加している。今回NECが取り組んだ内容はこうした活動に関して社会の要望に答えるものとされており、法令やガイドラインを順守した取り組みを進めるとしている。
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