Dellがクラウド運用モデルをオンプレミス環境やエッジ環境に拡張した「Dell APEX Cloud Platforms」など「Dell APEX」の新たな製品とストレージ製品「Dell PowerStore」の機能を強化することを発表した。
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Dell Technologies(以下、Dell)は2023年5月22〜25日(米国時間)、年次のグローバルイベント「Dell Technologies World 2023」を開催。「Dell APEX」の新たな製品群を発表した。アプリケーションやデータの置き場所に関係なく、管理やモビリティーを向上させ、運用の迅速化と事業の革新につながるアクションを早めるとしている。
デルが発表した新たな製品は、クラウド運用モデルをオンプレミス環境やエッジ環境に拡張した「Dell APEX Cloud Platforms」と、それらに向けたストレージ「Dell APEX Storage for Public Cloud」、管理ツールの「Dell APEX Navigator」、サーバやPCをas a Serviceモデルで提供する「Dell APEX PC-as-a-Service」「Dell APEX Compute」だ。
Dell APEX Cloud Platformsは、インフラやソフトウェア、クラウドオペレーティングに関わる技術スタックを統合した「ターンキー型」のシステムだ。クラウド運用モデルをオンプレミスやエッジ環境に拡張することで、一貫したマルチクラウドの運用が可能になる。
Dell APEX Cloud Platformsには、MicrosoftやRed Hat、VMwareとのコラボレーションに基づいて開発した3つの製品が用意されている。
Microsoftとのコラボレーションによる「Dell APEX Cloud Platform for Microsoft Azure」は、Microsoftの管理ツールを利用して「Azure Arc」を活用したオンプレミスデータセンターやエッジロケーション、Azureパブリッククラウドで一貫した運用とガバナンスを実現する。
Red Hatとのコラボレーションによる「Dell APEX Cloud Platform for Red Hat OpenShift」は、Kubernetesを基盤にしたハイブリッドクラウドアプリケーションプラットフォームだ。クラウドかオンプレミスかを問わず、コンテナベースのアプリケーション開発と管理を簡素化するとしている。
VMwareとのコラボレーションによる「Dell APEX Cloud Platform for VMware」は、Dellのソフトウェア定義型ストレージ(SDS)製品とvSphereを完全に統合して運用できる。
ストレージ製品群でも新たな発表があった。
Dell APEX Storage for Public Cloudは、「エンタープライズデータストレージの処理性能と高度なソフトウェア機能をパブリッククラウドにもたらす」ことをコンセプトとしたストレージ装置だ。
Dell APEX Storage for Public Cloudに含まれる「Dell APEX Block Storage for Amazon Web Services(AWS)」「Dell APEX Block Storage for Microsoft Azure」「Dell APEX File Storage for AWS」は、Dellのエンタープライズクラスのストレージ性能や拡張性、サイバーレジリエンスと、パブリッククラウドの経済性やアナリティクス、AI(人工知能)などのサービスを統合して提供する。
オンプレミス環境とDell APEX Block Storage for Public Cloudとの間はシームレスにデータを移動できるとしている。既存のインフラ運用スキルをそのまま活用できることから、パブリッククラウドを利用する際もアプリケーションのリファクタリングやスタッフの再教育などの工数をかけずに運用を継続できる。
なお、Dell APEX Block Storage for Microsoft Azureは、Dell独自の「スケールアウトアーキテクチャ」に基づき、ミッションクリティカルなシステムを含むワークロードに必要な処理性能と容量を自由に拡張できる。また、Dell APEX File Storage for AWSは「エンタープライズクラスの処理性能と機能をパブリッククラウドに提供する」としている。これらのストレージはDellのパブリッククラウド向けSDS装置として「Dell APEX Protection Storage for Public Cloud」に加わる。
一方、「Dell APEX Navigator for Multicloud Storage」は、Dell APEX Block Storage for Microsoft Azureと同File Storage for AWSの管理を一元化し、簡素化してセキュリティを確保するSaaSだ。オンプレミスとパブリッククラウドの間での、構成管理や自動展開、ストレージ監視、データ移動を支援する。
これに対して「Dell APEX Navigator for Kubernetes」は、Kubernetesのストレージ管理を簡素化するSaaSだ。「Dell Container Storage Modules」によって、データレプリケーションやアプリケーションの移動、可観測性といったデータサービスをコンテナに提供する。
Dell APEX Computeは、データセンターやエッジ環境、コロケーション施設で、ベアメタルのコンピュートリソースを提供する。任意のハイパーバイザーまたはOSをインストールして、仮想化またはコンテナベースの環境を運用できる。また、「Dell APEX PC-as-a-Service(PCaaS)」を利用することで、ITを簡素化するとともに、最新のクライアント技術を展開する際のコストを予測可能にする。
なお、Dellは、ストレージ向けソフトウェア「Dell PowerStore」の機能を強化することも明らかにした。
米国防総省が定めたIT製品調達におけるセキュリティ基準「STIGs」(Security Technical Implementation Guides)に準拠した「STIGモード」を備えたことに加え、有効期限前のスナップショットの不正な削除や変更を防御する機能を追加した。
さらに、ストレージ管理者がPowerStoreからアクセス権限を直接管理できるようにする機能や、MFA(多要素認証)を備え、スナップショットの容量をシステム当たり最大4倍に増やした。より多くの保護ポイントを設定でき、必要に応じて、より細かいレベルでデータを回復できる。
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