NECがAWSとの協業を拡大 印西DCでAWSと直接接続の強みも生かす

NECは、AWSとの戦略的協業を拡大する。これまでの協業を通じて得られた知見を基に顧客のDX支援を強化し、AWS Direct Connect接続拠点の活用やAWSを活用したソリューションの提供、AWS認定資格保有者の育成などに取り組む。

» 2023年06月01日 13時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 NECは2023年5月31日、Amazon Web Services(AWS)と2020年に締結したコーポレートレベルの戦略的協業を拡大すると発表した。顧客システムのクラウドマイグレーションやモダナイズに生かす計画だ。

AWS資格保有技術者を拡大 AWSベースのソリューション提供も強化

 今回の協業拡大によって、NECはこれまでの協業を通じて得られた知見を基にした顧客のDX支援を強化する。具体的には下記4つの取り組みを推進する計画だ。

 1つ目は、AWSとセキュアで高速・低遅延な接続を可能にするサービスだ。NECはこれまでも、AWSを活用したソリューションを提供するなど、顧客のDX支援に向けてAWSと協業してきた。そこでは、多くの顧客がデジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた最初の一歩として、オンプレミス環境からAWSに移行するものの、データレジデンシー(各国・地域のコンプライアンスに配慮したデータ配置と管理)に関して個別のソリューションを求められるケースがあった。

 AWSを活用する場合も、データ保護の観点から一部のシステムやデータをオンプレミスに置く場合、拠点間をセキュアかつ高速に接続する必要がある。NECが保有する印西データセンター(DC)は、構内にAWS Direct Connect接続拠点を持つため、企業が個々に専用線を契約しなくてもデータセンター構内からAWSに接続できる。

印西データセンター内のAWS Direct Connect接続拠点とAWS 印西データセンター内のAWS Direct Connect接続拠点とAWS

 2つ目は、AWS認定資格保有者の育成だ。NECは、2023年5月末にグループ内のAWS認定資格保有数3000を目標としていた。この目標はすでに2022年7月に達成しており、2023年3月末には4000に達したという。同社は今後、2023〜2027年度の5年間で約6000まで増強し、クラウドプロジェクトに関するデリバリー体制を強化する。

 3つ目は、顧客のマイグレーションとモダナイゼーションの支援だ。NECは、既存のオンプレミスシステムをAWSに移行させる際には、技術的な課題を解決するだけでなく、クラウド利用に合わせたビジネス上の評価基準やカルチャーなどの変革が顧客に必要になると指摘する。同社はAWSとの戦略協業を強化し、今までの知見を基にNEC社内にマイグレーション&モダナイゼーションコアチームを発足させた。ノウハウを集約して、DXの第一歩となるオンプレミス環境からクラウドへのマイグレーションやモダナイゼーションに対してスムーズな移行を支援するとしている。

 4つ目は、AWSを活用したSaaSやソリューション群の拡充だ。NECは現在、2020年に開始したAWSとの戦略的協業に基づいて、50以上のソリューションやSaaSをAWS上で提供している。今後同社は、さらにSaaSやソリューション群の拡充を目指して、SaaS & ソリューションコアチームをNEC内に発足させた。AWSプロフェッショナルサービスを活用し、顧客に提供するソリューションを拡充するとともに提供スピードも向上させるとしている。

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