「Text to Pay」に小売業界が注目する理由 北米で躍進する老舗FinTech企業FiservPayments Dive

老舗FinTeh企業のFiservが「Text to Pay」を発表した。リッチな支払いアプリが全盛のいま、なぜテキストデータを使った決済が注目を集めるのだろうか。

» 2023年06月05日 08時00分 公開
[Caitlin MullenPayments Dive]
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 決済および金融サービステクノロジーソリューションの大手プロバイダーであるFiservは、加盟店向けソフトウェアに同社の決済機能を組み込む独立系ソフトウェアベンダー(以下、ISV)がPOS市場でより有利に競争できるよう、「Text to Pay」機能を提供すると、2023年5月2日のニュースリリースで発表した(注1)。

 Text to Pay技術はロサンゼルスに拠点を置くソフトウェア会社Authviaが開発したものだ。Fiservの他のサービスを発展させたもので、「加盟店は請求書を顧客にテキスト送信し、そのチャネルを通じて顧客からの支払いを受け付けることができる」と、ウィスコンシン州ブルックフィールドのFiservのISV担当部長であるジョン・ハルパーン氏は説明する。

顧客にも加盟店にもメリットのあるText to Pay機能

 同氏は「私たちはAuthviaと提携し、テキストメッセージを送信してテキストで料金を支払える独自の機能を開発した」と2023年4月25日のインタビューで語っていた。

 第1四半期末に一部のISV顧客向けに限定ローンチをした後、2023年5月第1週からは広く利用可能になった。「現在はFiservと提携する全てのISVが加盟店顧客にこの機能を提供できるようになった」と同社の広報担当者は述べている。広報担当は同社がすでに「約1000社のISVと提携している」とコメントを付け加えた。

 ハルパーン氏は、競争の激しいマーチャントサービス市場において、Fiservは「パートナーに付加価値のあるサービスを追求し続けている」と、2023年4月末にアトランタで開催された電子取引協会のトランザクト会議でのインタビューで述べていた。

 同氏は「Fiservはパートナーやクライアントに定着するサービスを提供するにはどうしたらいいかを常に考えている」とも語る。同社は2021年、ピッツバーグに本拠を置くPineapple Paymentsという会社を買収した(注2)。Pineapple Paymentsはハルパーン氏が共同設立した企業で、ISVや中小企業向けに決済処理やテクノロジー、オムニチャネル決済などのサービスを提供している。

Squareはすでに加盟店にText to Pay機能を提供

 「Fiservが加盟店にText to Pay機能を提供するのはこの新サービスが初めてだ」と広報担当者は話す。両社の広報担当者によると、デジタル決済会社のStripeとBlockの加盟店事業であるSquareは、すでに加盟店に対して、顧客にテキストを送信して支払いを確保する機能を提供しているという。

 FiservはISVがText to Pay機能を求めているというフィードバックを受けており、「この傾向は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行時に特に顕著だった。人々は、より非接触で支払いを行う方法を求めている」とハルパーン氏は述べている。AuthviaがFiservのゲートウェイと統合されたことで、ISVは決済処理をText to Pay技術に結び付けることが可能になった。

 この支払い方法は、加盟店側にも魅力がある。「テキストメッセージは請求書を含む電子メールよりも早く開封されるため、加盟店はより早く支払いを受けられる」と、Fiservの広報担当者は述べている。またハルパーン氏は、「テキストメッセージによる支払い機能は、より多くの支払いフローを得るための1つの方法に過ぎない」と語っている。

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