「オペレーションのレジリエンス強化にAI投資」が9割 Accenture調査

各国の企業トップの9割がAIでオペレーションのレジリエンスを強化したいと考えているという。ただし現段階で実践できている企業は意外と少ない。AI時代の企業はまず何に取り組むべきだろうか。

» 2023年07月21日 08時30分 公開
[原田美穂ITmedia]

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 Accentureが調査レポート「企業オペレーションの再創造」(原題:Reinventing Enterprise Operations)を発表した。業務オペレーションの見直しとテクノロジー人材の獲得を急ぐ企業の現在の状況が明らかになった。

 回答者が想定するAIの活用範囲は、財務(89%)やサプライチェーン(88%)などで、データ駆動型の業務運用を挙げる声が多かった他、生成AI(人工知能)の実証を挙げる企業もあった。

 調査は日本を含む12カ国、15業界の1700人の経営者(うち72%が上級役職者)を対象としたものだ。業務オペレーションの成熟度を測定し、先進的な働き方に向けたAIやデータ、クラウドの活用状況を評価した。さらに調査結果と外部の検証データを組み合わせ、財務、エクスペリエンス、サステナビリティ、人材、ダイバーシティ&インクルージョン(D&I)、イノベーション、組織の俊敏性なども分析した。

業務オペレーション成熟企業はわずか9% AI時代の企業が着手すべき5つの取り組み

 同調査によれば、企業におけるオペレーションの成熟度を「AI」「データ」「プロセス」「人材」「コラボレーション」「利害関係者のエクスペリエンス」の6領域で評価したところ、全領域で最高レベルの成熟度を実現している企業は、わずか9%のみだった。

 該当企業は、同業他社に比べて、平均して営業利益率が1.4倍高く、イノベーション創出のスピードが42%速い他、エネルギー消費量が34%低く、顧客エンゲージメントが30%高いという特徴が見られた。

 今回の調査では、対象者の94%が「新しい働き方へ投資する」と回答した他、調査対象者のCOO(最高執行責任者)やCIO(最高情報責任者)、CHRO(最高人事責任者)

のうち90%は「今後3年間で専門的なテクノロジー人材の増員を計画している」と回答している。

 この調査結果を受け、Accentureは業務オペレーションの進化や新たな領域でのパフォーマンス向上に向けて、以下5つの取り組みを進める必要があるとしている。

AIおよび自動化がもたらすエクスペリエンスを身近にする: エクスペリエンスを起点とした成果の創出や、従業員や顧客との関係の円滑化に向けて、新たなユースケースを作成する

データに基づく決断力を磨く: データの生成や収集、活用に関する戦略を定義した上で、意思決定の指針となる効果的な洞察を得るために議論を促し、偏見を取り除く

業務プロセスの最適化を図る: 現行プロセスを可視化し、AIによる洞察を活用してさらなる効率化を図りつつ、業務シナリオの変更をシミュレーションしてプロセス最適化を図る

労働環境に俊敏性を備える: 労働環境に俊敏性をもたらす戦略を実行し、従業員がニーズに応じてテクノロジーツールを選択できるようにする

全方位型の価値(360℃バリュー)創出: 価値創出の在り方を総合的に捉えた上で、顧客や従業員、エコシステムパートナーのデータから得られる洞察を全社で活用できる環境をゼロから構築する

 この調査結果を発表するに当たり、アクセンチュアのユスフ・タヨブ氏(でオペレーションズ担当グループ チーフエグゼクティブ)は「「全てのCEO(最高経営責任者)にとって、より迅速なデジタル化やレジリエンスの強化、新たな成長戦略の策定は急務だ。人材やデータ活用、プロセスを強化しながら、テクノロジーへ適切な投資を行うことが、新たな領域でパフォーマンスを発揮するためのカギとなる」とコメントしている。

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