燃料費が高止まりする中、貨物輸送をいかに最適化するかは喫緊の課題だ。ある大手家電メーカーは「費用」「配送にかかる時間」「CO2排出量」などを考慮しつつ航空貨物を効率的に予約できるようにプロセスを改善した。
この記事は会員限定です。会員登録すると全てご覧いただけます。
スウェーデンの大手家電メーカーElectroluxグループは2023年5月、航空貨物の予約プロセスを改善するため、デジタル予約プラットフォームを運営するFreightosとの提携を発表した(注1)。同社は同ソリューションの導入目的について「効率化を図りつつ、貨物輸送の最適化を目指すため」としている。
ElectroluxのサプライチェーンチームはFreightosが提供する企業向けソリューションを利用することで、航空貨物の予約プロセスをどのように改善したのか。イアン・アロヨ氏(CCO《最高執行責任者》)は「Supply Chain Dive」に次のように語った。
Freightosが提供するソリューションで荷主と物流業者との間に立って貨物輸送に付帯する業務を担当する「フォワーダー」を選択した後、「需要に応じて価格が変動するスポットレートか、あるいはあらかじめ価格が決まっている契約レートか」「保証付きのキャパシティーか、あるいは航空会社別・便別に設定されているキャパシティーか」などを比較して予約できる。
Electroluxはまた、二酸化炭素(CO2)の推定排出量に基づいて貨物ルートを予約するためにFreightosのソリューションを使用している。Electroluxのパオロ・ガッリ氏(ロジスティクスオペレーション担当バイスプレジデント)は、「この機能によって意思決定する際にCO2排出量を考慮しやすくなる」と述べた。
Electroluxは、ロジスティクスの状況が常に変化し続ける中で(注2)、サプライチェーンの効率性を高めて貨物輸送に関する意思決定を最適化したいと考えている。
日産自動車は2023年4月にproject44のソリューションを導入し(注3)、輸送業者と貨物の追跡に関する情報を得られるようになった。このような可視化は、Electroluxのような荷主が集荷日や配達日を指定したり、データを使って過去の実績を分析したりするのに役立つ。
Freightosのアロヨ氏によると、同社の予約プラットフォームは複数機能を活用して航空会社と輸送会社を結び付けている。「つまり、荷主が既存のフォワーダーまたは新たなフォワーダーと予約すると、すぐに輸送会社に伝わる。予約に関する情報も同様にフィードバックされる」(アロヨ氏)
なお、アロヨ氏はElectroluxとの間で実施されたPoC(概念実証)の詳細については明らかにしなかった。
Electroluxのダニエル・コール氏(ロジスティクス購買ディレクター)は、「当社にとってこのようなプラットフォームは、配送時間の目標達成に役立つだけでなく、配送予約の際に運賃を抑えて予算を維持するのに役立つ。これによって、計画担当部門と購買部門との不必要なやりとりをなくせる。同時に購買部門は、今後のサプライヤーの決定に影響を与える統合データを得ることができる」と、ニュースリリースで述べた。
(注1)Electrolux Group Taps Freightos for Real-Time Procurement of Air Freight(prnewswire)
(注2)Flood of summer air cargo capacity further softens spot rates(Supply Chain Dive)
(注3)Nissan taps project44 for shipment visibility(Supply Chain Dive)
ガイドライン準拠のサプライチェーン間データ連携基盤プロトタイプを開発 NRI
コロナがあらわにしたトヨタの弱み 同社が取り組む「カイゼン」とは
頭の痛い“在庫”問題 「多品種小ロット」時代にどう対応する?
なぜ輸送業界の脱炭素は“ノロノロ運転”なのか 業界新団体の言い分は?© Industry Dive. All rights reserved.