貿易業務DXの推進をiPaaSで加速 HULFT Squareを介したAPI連携の成果は

煩雑な貿易業務の一元化、効率化を進めるトレードワルツが、セゾン情報システムズのiPaaS「HULFT Square」を介したAPI連携の試験で成果を発表した。ハブ&スポーク型の企業間連携のエコシステム拡大を目指す。

» 2023年07月31日 14時00分 公開
[山口哲弘ITmedia]

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 トレードワルツは2023年7月26日、同社の貿易情報連携プラットフォーム「TradeWaltz」のAPI利用拡大に向けて、セゾン情報システムズのiPaaS「HULFT Square」を利用した実証試験で「TradeWaltzユーザーによる、自社システムとTradeWaltzとの間のAPI連携にかかる手間や時間を飛躍的に効率化・短縮できることを明らかにした」と発表した。今後トレードワルツとセゾン情報システムズは、HULFT SquareをTradeWaltz連携ツールの一つとして提供することで、貿易電子化を協働して進めるとしている。

開発なしでデータ連携を設定可能に ハブ&スポーク型でエコシステムを拡大

 HULFT Squareは、DXに必要な「データ活用するためのデータ準備」や「業務システムをつなぐデータ連携」を支援するiPaaSだ。オンプレミスやクラウド、SaaSなどの環境に分散して管理されているさまざまなデータを、業務システム間、業種、国・地域をまたいで連携させられる。

 TradeWaltzは、ブロックチェーン技術の特性を生かして貿易に関わる全ての業務を一元的に電子データで管理するための貿易情報連携プラットフォームだ。商社や銀行、保険、船会社などの関係者と共に業界横断のコンソーシアムで協議した成果に基づいて開発されたもので、運営会社であるトレードワルツには複数の金融機関や商社が共同で出資している。

 今回の実証実験では、HULFT Squareに実装したTradeWaltz API連携のモジュールを使った。

 検証したのは、CSV形式で出力したTradeWaltzユーザーの船積み書類データを指定のBoxフォルダに格納、Boxフォルダに格納されたCSVデータをHULFT Squareで自動取得したり、CSVデータをTradeWaltzが読み取れるJSON形式データに自動変換したりする処理だ。

 実証実験の結果、データ変換や登録などは問題なく実行でき、チューニングによって処理時間を飛躍的に短縮させるめどがついた。

 実際の運用時には、Boxフォルダではなく社内のシステムフォルダやファイルサーバを使ったり、各社書類で記載されている特殊項目を追加でマッピング設定したりする必要はあるものの、クラウド環境下で連携モジュールの設定を変更するだけでコードを書かずに連携を図れる。トレードワルツは連携にかかる工数や時間を6割以上削減できると見ている。

システム連携の効率化(出典:セゾン情報システムズ発表資料)

 HULFT SquareとTradeWaltzが連携することで、それぞれが既に接続しているアライアンス先のサービスも相互に接続できるようになるため、「ハブ&スポーク」型のデータ連携が実現するとしている。

 「ハブ&スポーク」型のデータ連携のメリットの一例として、「社内の人事管理システムが持つユーザーデータのマスター情報からTradeWaltzのユーザーを登録する」「TradeWaltzで登録された貿易上の債権データを社内の会計管理システムに接続」「貿易業務で発生する脱炭素算出を計算するシステムとの連携」といったシステム間を連携させる仕組みを効率良く実装できるようになる点が上げられる。

「ハブ&スポーク」型のデータ連携(出典:セゾン情報システムズ発表資料)

 トレードワルツとセゾン情報システムズは、TradeWaltzとHULFT Squareを接続することで、それぞれが既に接続しているアライアンス先のサービスを相互に接続でき、付加価値を生み出しやすい下地を作れるという。今回の協業を皮切りに、ユーザーメリットを生み出す連携を検討するとしている。

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