チャットbotや取引の自動化は業務効率の向上に役立つが、サプライヤーは交渉や問題解決のために依然として人間との対話を必要としている。
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本稿の筆者は人間のリッチ・ワイズマンであり、AI(人工知能)ではない。AIに関する話で、カスタマーサービスのチャットbotがいかに不快で、なぜ人間の仕事をリプレースできないかを説明する。
AIは爆発的に普及しており、われわれのようにサプライチェーンの調達に携わる者にとっても無縁のままではいられないだろう。
売り手側でAIの効率性と広範性を支持する人々は、個性や意思決定能力を欠いたカスタマーサービスのチャットbotを導入し、人との接触が必要な顧客とサプライヤーとの関係を疎外しようとしている。
買い手側では経営者がAIを使って取引を自動化し、調達を合理化し、人員を削減し、さらに複雑な分析を通じて需給を調整している。しかし少なくとも今はまだ、AIがサプライヤーを説得して残業シフトを追加させたり、特定の顧客の需要に合わせて価格を引き下げたり、部品表を上書きしたり、エンジニアに設計図をマークアップさせて変更の指示書を作成させたりするところまで進化していない。
チャットbotはAIを搭載した自動会話プログラムで、チャットで顧客と対話し、自動化されたサポートや支援を提供する。私たちが携帯電話やケーブルのアカウントにアクセスする際に表示され、多くのサプライヤーが有用性を認める産業界に移行しつつある。
チャットbotの導入は大幅なコスト削減につながる。人間の従業員を雇い、トレーニングするのに比べ、チャットbotは安価でオフィススペースや設備、福利厚生などのリソースを必要としないからだ。
24時間体制でカスタマーサービスを提供できることも、チャットbotの重要な利点だ。高い拡張性で複数の顧客との会話を同時に処理し、事前に定義されたルールやガイドラインに従い、同様の問い合わせに対してパターン化された応答が保証される。場合によっては、それだけで顧客を満足させるのに十分かもしれない。では、なぜ私たちはチャットbotを好まないのだろうか。
チャットbotには、多くの顧客との対話に欠かせない人間の感情や共感が欠けている。複雑な状況や感情的な状況では、顧客はときに人間だけが提供できる相手への配慮や理解を求める。また、チャットbotはデータとアルゴリズムに大きく依存しているため、事前にプログラムされた知識の範囲内でしか情報を提供できない。
自然言語や複雑なクエリの理解には限界があるため、チャットbotは曖昧な質問や間接的な質問に苦戦し、不正確または不完全に回答してしまう。
AIは調達プロセスのある側面を自動化し、効率を高める可能性を秘めているが、「バイヤーbot」が人間の調達専門家に取って代わる可能性は低い。その理由は以下の通りだ。
いつの日か、私たち全員が人間らしい意識を持つ調達ロボットの下で働く日が来るかもしれない。
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