キラキラのワーケーションを想像していたんですが……海外は常にハプニングだらけだ(韓国・済州島編)編集部コラム

はじめてのワーケーション。浮かれた気持ちでいたら痛い目に合うと身をもって感じた。本稿は韓国の済州島で起きたハプニングをお届けする。是非ワーケーションの参考にしてほしい。

» 2023年10月07日 08時00分 公開
[関谷祥平ITmedia]

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 壮大な自然を眺めながらコーヒー片手にキーボードを打つ……。こんなワーケーションをしたいとコロナ以降ずっと考えてきた。やろうやろうと思いながらもなかなか実行に移せずいたが、今回は思い切って韓国の済州島(日本の沖縄的な存在)に来た。というのも高校からの友人が住んでいることに加え、筆者も過去に一度来たことがあるので、なんとなく「最初のワーケーションにはいいかな」と思ったのだ。

 最初に断っておくが、本稿でこれから述べる「筆者に起きた災難」は決して済州島のせいではない。簡潔に言うと「筆者のトイレの近さとあまりに荒いバスの運転(これは済州島のせいかも)」にある。

ちなみに済州島は働きやすい

 筆者はこれまでソウルと釜山にも行ったことがあり、今回の済州島で韓国は3回目だ。何となく慣れている気持ちもあるし、渡航時間も短いので初めてのワーケーションとしてはそんなに難易度は高くない。筆者はWi-Fiを日本から持ってきているが、街には基本的にどこでもフリーWi-Fiがあるので、インターネットにも困らない。済州島に関して言えば、街に「Jeju Free WiFi」なるものが飛んでおり、よっぽど辺ぴな場所に行かない限りネットが使える。

宿泊地の近くの海 散歩コースが整備されている

 済州島は現在、スタートアップ企業を誘致し「韓国のシリコンバレー」になることを目指しているそうで、済州市内には無料で使えるコワーキングスペースもあり、働く環境としては申し分ない。

 筆者の生活と言えば「7時起床、海沿いを散歩→8時か9時に始業→ランチにローカルな店でキンパ→17時か18時に終業→ローカルな店でソジュ」みたいな感じだ。

 ちなみに済州島は面積1826平方キロの島なので、電車などはなく、移動手段は歩きかバスだ。バスの本数はかなり多く、どこに行くにも困らない。値段もどこまで行っても1200ウォン(約120円)と良心的だ。

 せっかく済州島でワーケーションしているので、先日は休みを利用して友人とバスで1時間ほどの場所にある海に行った。

コリアン焼肉とビールは最高! でもトイレだけは入念に済ませとけ

 韓国焼肉は最高だ。済州島は黒豚が有名なので、黒豚の焼肉を海沿いの有名な店でいただいた。焼肉と言えばビール、韓国ビールで有名なのはCASSビールだ。かなりあっさりしていて、飲みやすい。筆者は「すぐトイレに行きたくなるビール」だと思っている。

黒豚の焼肉、葉っぱで包んでビールで流し込む

 焼肉とビールをいただいたら帰路につく。当然バスで帰るわけだが、済州島のバスはかなり荒い。道も荒いのだが、運転が特に強烈だ。特に止まるときに勢いがあまりに激しいので、車内で転ぶ人をよく見かける。筆者も済州島に着いた初日、日本のバスの感覚で立ち上がったら体を吹き飛ばされ腰を肘置きに強打した。

 ただ激しいだけならまだ許せるのだが、かなり酔いやすいのがつらい。特に後部座席は最悪で、乗って5分もせずにむかむかしてくる。ケニアやインドでもバスに乗ってきた筆者だが、済州島のバスは一番体に合わない。

 そんなバスで焼肉屋から1時間かけて帰宅するのだから、筆者は入念にトイレに行った。ましてやCASSビールはトイレが近くなるビールだ。

 余裕ぶっこいていた筆者だが、乗って10分もするとその振動でトイレに行きたくなる。こんな時に限ってなかなか電波が入らないし、バスは満員だし、バスにトイレはないし、もう狂いそうになる。30分も耐えると、何となく知っているバス停の名前が表示され(韓国語だから間違った)、「ここで降りても最悪歩いて帰れる。歩けなくても次のバスが来るだろう」と甘い判断を下し、友人に降りると伝え一人でバスを飛び出した。

 この判断が完全になめていた。知っていると思ったバス停の名前は完全に見間違いで、降りた場所は何もない海沿いの道。しかも行きは一時間の道のりだったが、帰りのルートは別のもので、かなり町から遠かった。しかもこの日はアルゼンチン対チリのラグビーの試合が22時からあり、絶対に見逃せない。日本のグループ最終戦がアルゼンチンだからだ。

 バス停で次のバスを確認するが、韓国語のみで読めない(町の中はタッチスクリーンで言語変更可能だが、ここは壊れてた)。

 人もいないしバスも来ない。何とか歩いている人に話を聞くが、街に行くバスは終わったという。さあヤバイ。

 タクシーを捕まえようにも、そこはただの海沿いの田舎道なのでかなりスピードを出しており、全く止まってくれない。しかも台数も少ない。10分に一台通るかどうかくらいだ。「アウトバーンか(ドイツに入ったことないが)」と突っ込みたくなるほど車を飛ばすタクシーに「タクシー!」「Taxi!」「TAXI!」とニューヨーカー顔負けの声で叫ぶが効果なし。

 「ならば止まっているタクシーに直接話しかけよう」と信号で待ち伏せし、手で○と×を示すが、みんな×。もうここら辺から焦りはなくなってどうでもよくなってくる。幸い気温は高くないから、死ぬ気で朝まで歩けばいい。

筆者が置いてけぼりになった道、もうどうにでもなれ

 タクシーを捕まえようと粘ること約1時間。もう諦めて町まで歩き始めようかと迷っていると、たまたま通りかかった宅配のおじさん(韓国版のUber Eatsみたいな)が止まってくれて、交渉開始。韓国語と日本語と英語のミックスでたたみかける。おじさんも街の方向へ行くから、済州国際空港まで行ってくれることに。「カムサハムニダ!」と何回言ったか分からない。取りあえず空港まで行ければ後はバスかタクシーを捕まえられる。

 こうして何とかたどり着いたパブで飲んだギネスは最高だった。ちなみに後日談だが、筆者が飛び降りたバスはその次のバス停でパンクし、結局乗員全員バスを変更させられたそうだ。あと一駅粘ればいやでも降ろされ、トイレに行けた。

 ちなみにアルゼンチンも強かった。本稿が公開されるのは2023年10月7日、日本対アルゼンチンは翌日の8日だ。今でも思うが、あのおじさんがいなければ本当に困ってた。試合は見れないし、かなりの時間歩かなければならなかっただろうから。

 海外からのワーケーション、環境が違えばアクシデントに巻き込まれる可能性も高くなる。もし読者の中に済州島でのワーケーションを考えている方がいたら、小まめなトイレ休憩とバス酔い対策は必須だ(バスに関しては対策のしようがないが)。

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