MacBook vs. その他のPCはどちらが“安全でコスパがいい”? 永遠の論争に決着かCIO Dive

Ciscoは13万人の従業員がAppleのPCとそれ以外のPCのどちらかを選択した後のデータを分析した結果を公開した。MacBookとその他のPCはどちらが安全でコスパがいいのだろうか。

» 2023年11月02日 07時00分 公開
[Matt AshareCIO Dive]

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 Ciscoのシニアバイスプレジデント兼CIO(最高情報責任者)のフレッチャー・プレヴィン氏は2023年9月20日(現地時間、以下同)、「Jamf Nation User Conference」のプレゼンテーションの中で、1年にわたる社内調査で、13万人の従業員が「MacBook」とそれ以外のPCのどちらかを選択した後のデータを分析したと述べた(注1)。

MacBook vs. その他のPC どちらが安全でコスパがいいか、Ciscoが社内調査

 Ciscoのデータによると、MacBookを選択した従業員は、他のデバイスを選択した従業員と比較して、サイバー脅威の標的になる可能性が5倍低く、ウイルス感染も9倍少なかったと分析されている。

 また、MacBookユーザーの10人中9人近くが生体認証を利用してセキュリティを高めているのに対し、それ以外のPCを使うユーザーは10人中3人以下だった。

 Apple製デバイスの導入の障壁には価格がしばしば挙げられるが、MacBookは長期的に見れば他のデバイスよりも安価であることがCiscoの調べで分かった。モデルにもよるが、MacBookは他のPCと比べて3年間で148〜395ドルのコスト削減が見込まれる。

 Ciscoは同社のエンジニアが開発した総保有コスト(TCO)計算機を使用してROI(投資利益率)を測定し、MacBookユーザーが必要とするIT管理者の数が他のデバイスに比べて3分の1少なかったことを明らかにした。さらに、MacBookを使用している従業員は「ITサポートの満足度が若干高い」と回答したとプレヴィン氏は述べている。

 なお同社は、総保有コスト計算ツールのオープンソースソフトウェア(OSS)版を提供している(注2)。

PC市場の下落率は底を打った感

 Ciscoの内部分析はPC市場が不安定な時期に実施されたものだ。

 一般的に消耗と製品のアップグレードを考慮して、企業はおよそ4年ごとにノートPCを買い替える。しかし2022年の経済見通しが悪化すると、この決まった更新サイクルは変化した。

 ノートPCの出荷台数はパンデミック後の打撃を受け、メーカー各社は今ようやくそこから回復し始めているところだ。ITや通信分野における調査・分析を行うIDCによると、テレワーカーをサポートするためにノートPCを買いだめしていた企業は、裁量的支出を切り詰め購入を遅らせたため、2022年には前年比で年間6%近く減少する要因となった(注3)。

 この落ち込みは2023年前半まで続き、IDCは2023年の落ち込みを13.4%と予測している(注4)。しかし市場が安定し始めると、Appleは3大競合相手であるDellやHP、Lenovoに差をつけるための態勢を整えるかもしれない。

 IDCのワールドワイド・モバイル・コンシューマー・デバイス・トラッカー・グループでバイスプレジデントを務めるライアン・ライス氏は、2023年8月のレポートで「Windows 10のサポート終了が2025年であることを忘れてはならない」と述べている(注5)。

 従業員の好みも一役買っている。プレヴィン氏によると、Ciscoの従業員の4分の1近くが、従来のPCからMacBookに乗り換えたという。現在、Ciscoの従業員の60%がMacBookを使用している。

 「Appleが企業向けセグメントで成長を続ける機会を得ていることは明らかであり、今後注意深く見守る必要がある」とライス氏は付け加えた。

 IDCは現在、2024年のPC出荷台数は前年比3.7%増になると予想している(注6)。Gartnerのディレクターアナリストである北川 美佳子氏も、第2四半期の出荷台数が前年同期比で17%近く落ち込んだ後、企業需要が循環的に回復するにつれて、2024年にはPC市場が回復すると予測している。

 同氏は「PC市場の下落率は鈍化しており、出荷台数は底を打った可能性がある」と述べた。

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