新リース会計基準への適応に向けて、企業は「新基準による影響額の試算」に取り組む必要がある。一方でノウハウがない企業には困難なのも事実だ。このような企業を支援する無料ツールが登場した。
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ワークスアプリケーションズ(以下、WAP)は2023年11月6日、企業会計基準委員会(ASBJ)による「新リース会計基準」草案の公表を受け、基準適用の影響額を試算するツールを同日より無償提供すると発表した。
2023年5月に公開草案が開示された新リース会計基準では、リース契約の会計処理方法が大きく変更された。これまでBS(貸借対照表)に計上する必要がなかった不動産契約などもオンバランス化されるため、店舗が多い小売業やマスターリース契約を持つ不動産業、用船リース・航空機リースを持つ海運・空輸業といった業種では「債務金額が10倍近くになる」企業も発生する可能性がある。
こうした制度改正から、現在多くの企業で確認が急がれるのが「新基準による影響額の試算」だ。基準の強制適用のタイミング(2026年4月見込み)から逆算すると、2024年3月ごろまでには自社で保持している契約の情報を集め、どの程度財務諸表へのインパクトが出るのかを算出することが必須とされる。
一方、影響額の試算には償却計算や利息法による割引現在価値の算出が求められ、一定のリース会計に関するノウハウが必須だ。
上記のような背景から、WAPは現行オフバランスとしている契約をオンバランス化した場合の影響額を試算するためのツールを無償提供する。利用者は「Microsoft Excel」で最低限の入力を行うことで計算結果を得られる。
同ツールに賃料や契約期間等の契約にかかわる最低限の情報を入力すると、最大10年分の償却や利息計算を行い、BSおよび損益計算書(PL)への影響額を出力する。「Microsoft 365」や「Google スプレッドシート」などの共同編集可能なスプレッドシートにアップロードすれば、各拠点からの契約情報の収集等もスムーズになる。
WAPのソリューションを利用していない場合でも、新リース会計基準の対応を検討中の企業は無償で影響額試算ツールを利用可能だ。
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