ライドシェア業界とフードデリバリー業界の「物流会社」化が進んでいる。大手のUberは、ECサイトなどから購入された商品の返品サービスを開始した。大手物流業者の拠点と一般消費者をつなぐ「ラストワンマイル」の配達を請け負うこのサービスは成功するか?
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長時間労働が敬遠されがちなドライバーの不足はなかなか解消する気配がない。ECサイト経由での買い物が増える年末のホリデーシーズンを前に、ライドシェアとフードデリバリーの大手Uberが新しく提供を開始したサービスは物流業界の「救世主」となるか。
Uberは宅配業者と提携して「ラストワンマイル」を埋めるサービスを拡充した。
Uberが2023年10月3日(現地時間)に発表したのは、同社が米国内の約5000都市で提供している即日配達サービス「Uber Connect」を通じて提供される返品機能だ(注1)。「ユーザーが新たに実装された『荷物を返す』機能を使うと、封をした荷物をUberのドライバーが1回に付き5個まで受け取る。Uberは最寄りの郵便局やUnited Parcel Service(UPS)、またはFederal Express(FedEx)の拠点に荷物を届ける」とUberは述べた。
同社はこのサービスを5ドル(「Uber One」プログラム会員には3ドル)で提供している。ユーザーはUberの公式アプリで荷物をリアルタイム追跡できる。手続きが完了した後は宅配業者が目視確認したり、あるいはレシートの写真を消費者に送信したりする。
大量の返品が避けられないホリデーシーズンの出荷ピークに合わせて、Uberは荷物の返品サービスを開始した。
同社は「返送する必要があるにもかかわらず無視されている荷物を処理するという、面倒な業務にかかる時間と労力を節約する新しい方法を追加した」と説明する。
「今回提供を開始したサービスはより便利な選択肢を顧客に提供することで、荷物の返送の遅れを減らすのに役立つだろう」と、物流ソリューションを提供するShipwareのシニアコンサルタントでUnited States Postal Service(USPS、米郵政公社)のスペシャリストを兼任するゴードン・グレイザー氏は「LinkedIn」に投稿した(注2)。「このサービスが時間とともに成熟するのを見守るのは興味深い。包装されていない商品の返品や返品を再処理センターに転送する専門小売業者プログラム、慈善団体への寄付、または安全な廃棄物処理など、今後の拡張が期待できる」
Uberによると、Uber Connectの機能を使って送られる荷物には、返品される商品も含めて金額制限と重量制限が設けられている。Uber Connectの利用規約には「荷物の重量は30ポンド(13.6キロ)以下、総額は100ドル以下」と記載がある(注3)。
フードデリバリー大手のDoorDashは、2023年1月の連休後の返品シーズンの繁忙期に返品サービスを展開した(注4)。DoorDashが提供するサービスは、Uber同様、1回の注文につき5個までを一律5ドル(「DashPass」会員は3ドル)で自宅からピックアップしてもらい、UPSやFedEx、USPSの拠点まで届けてもらえる。
(注1)Introducing package returns with Uber(Uber Newsroom)
(注2)Gordon Glazer, CMDSM, CMDSS, MDP, MDC (LinkedIn)
(注3)Uber Connect Terms and Conditions(Uber)
(注4)DoorDash launches package pickup service(Supply Chain Dive)
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