ハイパースケーラーのAWSとメガバンクのMUFGが提携を発表した。そこには2つの目的があるという。
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Amazonは2023年11月14日(現知時間)、同社の関連会社であるAmazon Web Servces(以下、AWS)と三菱UFJフィナンシャルグループ(以下、MUFG)がDX(デジタルトランスフォーメーション)を促進させることを目的に、複数年にわたるグローバル契約を結んだと発表した。
MUFGは今後、AWSの生成AI(人工知能)やML(機械学習)などを駆使したクラウド技術を活用し、より優れたデータドリブンな意思決定やプロセスの自動化を促進させる。これらによって、資産運用やバンキング業務、ファンド運営などの分野でも急速に変化する顧客ニーズの変化に対応するという。
MUFGは、AWSでこれまで株式や投資信託、クラウドファンディング、保険、ポイント運用など、MUFGだけでなくパートナー企業が提供する商品やサービスも含めた幅広い選択肢から、個人が自身に最適な金融サービスを選び、単一のモバイルアプリで金融ポートフォリオを構築できる資産運用プラットフォーム「Money Canvas」を開発している。
MUFGは今後、以下の2つのことに取り組むとしている。
MUFGは、複数の基盤モデル(FM)をAPIで活用できる「Amazon Bedrock」や、機械学習ソリューション「Amazon SageMaker JumpStart」を利用し、社内文書の要約やドラフト作成、各種問い合わせ応答の自動化といったユースケースの検証を行う。こうした取り組みで、カスタマーサービスや財務、人事、営業など、あらゆる事業部門における生産性の向上を目指す。
MUFGによると、同社は既に機械学習モデルの構築やトレーニング、デプロイを行うフルマネージド型サービス「Amazon SageMaker」を使い、業務センターにおける業務を自動化し、30%の業務量削減を実現している。
クラウドデータウェアハウス「Amazon Redshift」を利用し、MUFGはこれまで営業店における営業活動の最適化や顧客との対話強化、業務の高度化などを推進してきた。同社は企業文化変革の取り組みとして、パルスサーベイのプラットフォーム構築も行っており、これにBIサービスの「Amazon QuickSight」を用いることで、従来の方法よりも回答の集計から結果の還元までのリードタイムを4分の1に短縮した。また、運用にかかる費用を約70%削減した。
MUFGのスコット・マリンズ氏(金融事業統括責任者)は「金融サービス業界は、パーソナライズされフリクションレスな体験に対する消費者の期待が高まっており、生成AIを活用した革新的なサービスの開発が推し進められ、大きなデジタル変革期を迎えています。AWSの幅広い機能や拡張性、イノベーションへのアプローチをMUFGの専門知識と組み合わせることで、MUFGはビジネスをさらに進化させ、従業員と顧客にとって革新的なデジタル体験の市場投入を加速させます」とコメントしている。
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