ラックは千葉銀行に不正取引検知ソリューション「AIゼロフラウド」を提供することで合意した。2024年から運用を開始する。高齢者に対する特殊詐欺や口座の不正利用を検出するこのソリューションは金融犯罪への効果的な対策となるだろうか。
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ラックは2023年11月15日、千葉銀行に不正取引検知ソリューション「AIゼロフラウド」を提供することで合意したと発表した。
AIゼロフラウドは金融サービスユーザーの取引行動をAI(人工知能)を使って分析し、高精度で金融犯罪を検知する対策ソリューションだ。インターネットバンキングの不正送金やATMを介した特殊詐欺などに使われる不正口座を検知し、金融犯罪における被害防止に向けた金融サービス提供事業者の取り組みを支援する。
ラックは2023年11月からシステム開発および導入を進め、2024年に運用を開始する予定だ。同ソリューションの導入によって高齢者からキャッシュカードをだまし取るといった特殊詐欺などによる不正出金や、犯罪者が資金の受け皿として使用するために詐取した口座に対する対策が可能となる。千葉銀行はこの合意によって、特殊詐欺や不正口座などの金融犯罪に対する強力な対策を講じられるとしている。
警察庁によると、2022年の特殊詐欺による被害額は約370億円とされている他、2023年上半期時点におけるインターネットバンキング不正送金被害は約30億円とされており、増加傾向を示している。特殊詐欺やインターネットバンキング不正送金に犯罪者が使用する不正口座も急増する傾向を示しており、大きな脅威になっている。
千葉銀行はこれまで、特殊詐欺や不正口座への対策として、ラックの金融犯罪対策センター(FC3:Financial Crime Control Center)が提供するAIゼロフラウドのPoC(概念実証)に取り組んできた。この結果、特殊詐欺における不正取引の検知や不正口座の検知の精度の高さが確認できたとし、同ソリューションの導入を決定した。
従来のルールベースによる不正検知では犯罪のパターンに応じて多くのルールを作成する必要がある他、複雑な条件を設定することが難しいという課題があった。AIゼロフラウドを利用することで、犯罪に使われる取引の特徴を学習させてより細かい観点での分析が可能となり、近年巧妙化している金融犯罪に対して高精度での検出が可能になるという。
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